第2話 猫のお土産
※
心の準備は、よろしいでしょうか?
いきますよ?
↓
↓
↓
↓
↓
「そろそろ狩りに行ってくるニャー。シロちゃん、良い子で待ってるニャー」
「いってらっしゃいミャ」
サバトラはぼくの頭をひと
野生の猫は、
サバトラを見送った後、シロブチがぼくの頭を
「シロちゃんもそろそろ、狩りを教えないといけないニャ。私たちも何か狩りましょうニャ」
「分かったミャ」
猫は
親猫から
ぼくも猫になったからには、狩りが出来るようにならなくちゃ。
初めての狩りで、ドキドキワクワクしている。
しばらく歩いていると、近くの
それを見た瞬間、恐怖のあまり大きく飛びのいた。
それの詳しい
その名を口にするのもおぞましい、
「ミャァァァアアアアァァーッ!」
「シロちゃん、良く見ておくニャッ!」
ぼくが
とどめとばかりに、
シロブチは得意げな顔で、
ひぃぃ……、それをこっちに持ってこないでくれ……。
シロブチは
そして、シロブチは優しい笑顔でこう言った。
「シロちゃん、食べるニャ」
いやいや、無理無理無理無理っ!
猫が
元人間のぼくには、絶対食べられないっ!
しかも、まだ
何度も首を横に振ると、シロブチは不思議そうに首を
「どうしたニャ? 食べないと大きくなれないニャ」
ぼくとシロブチが
振り向くと、そこにいたのはサバトラだった。
サバトラは、大きな動物を
動物は全然動かないから、完全にしとめられているのだろう。
サバトラは動物から口を離すと、満足げな顔で笑う。
「ふたりともただいまニャー、お
「おかえりなさいニャ」
「シロちゃん、良い子にしてたかニャー?」
「ミャ」
「そうかそうか、良い子ニャー」
サバトラはご
サバトラが何を狩ってきたのかが気になり、
それは、巨大なネズミだった。
「さぁ、みんな食べるニャー」
「いただきますニャ」
サバトラとシロブチは、美味しそうに食べ始める。
グロい光景に、思わず目を
猫科の動物は肉食で、狩った
分かっていたけど、これが猫に生まれ変わった
「シロちゃん、これも食べたくないニャ?」
「食べないと、お腹が
食べようとしないぼくを、ふたりが心配そうな顔でこちらを見てくる。
うぅ、そんな目で見ないでくれ。
ぼくだって、ものすごくお腹は空いている。
正直言って食べたくないけれど、食べなければ死んでしまう。
「わ、分かったミャ。食べるミャ……」
グロいのは見たくないから目をつぶって、恐る恐る肉に
あれ? 美味しい!
当たり前だけど、肉の味がするっ!
猫になったから
「やっと食べてくれて、良かったニャ」
「美味しいかニャー?」
「美味しいミャ!」
ぼくが肉を食べ始めると、親猫たちは安心した顔で笑った。
大きなネズミは、さすがにぼくたちだけじゃ食べきれない。
「残りのお肉は、
「アプソロブラッティナも、お土産にしましょうニャ」
残ったネズミはサバトラが、
それはそうと、アプソロブラッティナってなに?
何? その舌を
この世界では、そんなムダにカッコイイ呪文みたいな名前なの?
どんなにカッコイイ名前を付けたって、
ぼくは
距離を置いたぼくを見て、シロブチがしょんぼりする。
ぼくたちのやりとりを見たサバトラが、首を
「ふたりとも、どうしたのニャー?」
「シロちゃんは、アプソロブラッティナが怖くて食べられないらしいのニャ」
「アプソロブラッティナは、カリカリしてとっても美味しいのにニャー」
どんなに美味しくてもどんなにカッコイイ名前でも、あの見た目は変わらない。
無理なものは、無理。
そんなこんなで、ぼくたちは集落へ戻ってきた。
集落に戻ると、サバトラが大きな声でみんなを呼ぶ。
「みんなー、フォベロミス・パッテルソニが狩れたからお土産ニャーッ!」
これを聞いた集落中の猫達が、ニャーニャーと喜びの声を上げながら集まって来る。
飼い主の「ごはんだよ~」を聞いて、
みんな「うみゃいうみゃい」と、大喜びで肉を食べている。
同じ集落で暮らすもの同士、こうして助け合って、のんびりと仲良く生きているのだろう。
こういうのって、
みんな猫だから、可愛いし。
ネズミは、フォベロミス・パッテルソニっていう名前なのか。
これもまた、舌を
この世界には、色々変わった生き物がいるみたいで面白い。
これから、どんな生き物と出会えるのか楽しみだ。
ただし、
🐾ฅ^・ω・^ฅ🐾
お腹がいっぱいになったら、急に
それもそのはず、猫は1日平均12~16時間も寝る。
生後5ヶ月未満の
下手したら、食事以外は1日中寝っぱなしなんてこともあるらしい。
眠くてふにゃふにゃしているぼくを見て、シロブチとサバトラが笑う。
「シロちゃん、おねむかニャ?」
「狩りで疲れて、眠いニャー。みんなで、おうちに帰って寝るニャー」
そう言いながら、サバトラがぼくを抱っこしてくれた。
抱っこなんて、いつ振りだろう。
親に抱っこしてもらえるのは、小さな子供のうちだけ。
久々のぬくもりが
「あらあら、シロちゃんったら甘えんぼさんニャ」
「まだまだ赤ちゃんなんだニャー、可愛いニャー」
しばらくすると、地面に
周りを見れば、同じような穴がいくつもある。
どうやらここが、この
野生の猫は地面に穴を掘り、中に柔らかい
初めて見る猫の巣穴に、ちょっと感動する。
シロブチとサバトラが巣穴に入り、一緒に丸くなる。
ぼくはふたりに
「おやすみなさいニャ」
「おやすみニャー」
「おやすみなさいミャ」
ああ、なんて幸せなんだろう。
ふわふわもふもふの猫毛に包まれて、あっという間に眠ってしまった。
――――――――――――――――――――――――――――――
【
今から3億5920万年くらい前に
体長50㎝とか1mとかいう
実際に見つかった化石は、約9㎝。
それでも、
【
今から800万年くらい前に生息していたといわれている、世界最大級のネズミ。
体長約3m、体重約700㎏あったと考えられている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます