番外編 3

 とてつもない後悔が俺を襲う。


 俺はどうしてフミちゃん先輩のフーフーを断ってしまったんだ!


 あー!戻りたい!今すぐにでも1分前に戻りたい!


「ん?どうしたの?」


 俺が後悔に襲われてるのを見てフミちゃん先輩は声をかけてくれた。…優しい。


「え、いや、何でもないです」


「まだ熱い?やっぱりフーフーする?エンジェルブレス(天使のため息)する?」



 キター!!またフーフーチャンスキター!!もうこれはお願いするしかない!土下座をしてでもお願いをしないと!


「はぁ…はぁ…」


 フミちゃん先輩にフーフーしてもらえると思うと急に呼吸が上手くできない。


 呼吸なんかしなくて良い。フミちゃん先輩にフーフーをしてもらえるなら!


 やばい、興奮が抑えられない…。


「え、顔赤いよ。熱上がった?冷えピタ…は下だ。下に取りに行ってくるね」


 フミちゃん先輩は下にある冷えピタを取りに行ってしまった。


「あれ?え?フーフーは?フーフーは!?」


 興奮したから顔が熱くなっただけだから上に来た時にはもう冷めちゃってるよ…。熱もお粥も。


 






「どう?楽になってる?」


「はい。そもそも大した熱じゃなかったんで」


「良かった」


 まぁフミちゃん先輩が来てくれたおかげで元気は全快したからね。明日になったら部活に行けるようになる。


「…ありがとう」


「何がですか?」


「祥太のおかげでおばあちゃんに伝える事ができたから。おばあちゃん、私の言葉聞いて笑ってたって言ってた。私だけだったら何も出来なかった、祥太がいてくれたからちゃんと伝えて事ができた。ありがとう。…本当にありがとう」


 良かった。フミちゃん先輩が俺みたいにならなくて。俺みたいになったら一生後悔して生きていくことになっちゃうから。


「俺のおかげじゃないですよ。先輩が想いがおばあちゃんに届いただけですよ」


「ううん。そうじゃなくて祥太が色々サポートしてくれたから伝える事ができたから」


「本当に俺は何もしてないですよ。電車のアナウンスはたまたまですし、電話もたまたま流星と話してただけですから」


 無いかもしれないけどこれで俺の手柄になったらフミちゃん先輩は俺に恩を感じて好意を寄せてしまうかもしれない。


 いや、無いよ。無いけど一応ね。


 好感度の件がなかったら何としてもでも全部俺の手柄にしてたけど。


「そうなんだ」


「はい。何ならごめんじゃなくてありがとう、って言った方が良いって流星に言えって言われて俺が先輩に言いましたからね」


 もちろん嘘だ。でも、ここで少しでも早乙女への好感度を稼いでおかないとな。


 安心してくれ、もう早乙女には言ってあるから。もしもフミちゃん先輩が聞いてきたら俺(早乙女)が言いましたって。


 こういう所でもちゃんと好感度は稼いでおかないとな。


「へぇ、そうなんだ。流星くんに言えって言われたんだ。へぇ」


「は、はい」


 え、疑われてる?でも、疑われる要素ないよな?








 〜少し前〜


 私は気になって仕方なかった。電車の中での出来事が全て偶然なのか。


 それとも祥太くんがあの環境を作ってくれたのか。


 だから祥太くんと電話してた流星くんに聞いてみる事にした。


「はい。多分全部祥太のおかげです」


「やっぱりそうなんだ」


「祥太は俺が指示した事にしようとしてたらしいですけど…。どうして俺がわざわざ電話で指示するんだって話ですよね。ほら見てください、通話履歴無いんで。アナウンスも多分祥太が色々やったんだと思いますよ」


「どうしてそんな事…」


「優しくて恥ずかしがり屋なんですよ、あいつは」


「嬉しそうだね」


「はい。自慢の親友なんで」








「とりあえず元気そうで良かったよ。今日はもう帰るね」


「はい。ありがとうございました」


「じゃあね、祥太」


「お疲れ様です」


 フミちゃん先輩が来てくれたおかげで明日は元気に部活に行けそうだ。










 あれ?呼び捨てになってない?


 





 

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