第19話

 おばあちゃんが危ない?


 おいおいおいおいおいおいおいおい!フミちゃん先輩は一体何を言ってんだ!


 確かに原作の方でも対決に勝ったら電話がきておばあちゃんが危ないって来るんだけど、それは原作の話だよな?


 だって対決の日がズレたんだよ?どうしてズレた方に付いてくるんだよ!


 





 …ちょっと待ってくれ。さっきのクイズで頭を使いすぎたんだ、もう考えるの疲れてんだよ。


 考えようとしてもパニックと疲れが出て何も頭が働かない。


 とりあえず何をすれば良いんだ?


 一旦原作の自転車で病院に向かうをやった方が良いな。


「早乙女!自転車で先輩を病院まで連れて行ってやれ!」


「お、おう」


「先輩は校門で待っておいてください」


「う、うん」


 働かない頭で指示を出してフミちゃん先輩を病院へ向かわせる。


 合ってるよな?これで合ってるよな?フミちゃん先輩はおばあちゃんに伝えたいことがあるんだから。


 そもそもどうして今なんだ?どうしてそんな嫌な事ばっかり原作通りに進んでしまうんだよ!


 …原作通り?


 原作通りってことは時間はどうなんだ?原作はドッジボールだったからこっちよりは早く終わったはず。こっちは5回もゲームしたから時間がかかったから…、もう間に合わないのか?


 いやいやいや、原作通りならちゃんと間に合うに決まってるだろ。じゃないと原作通りじゃないだろ。


 でも、原作通りに進まなかったことなんかいっぱいあった。


 …フミちゃん先輩はおばあちゃんに伝えたいことを伝えられずに終わってしまうことがあるのか?


 

 そんな事があって良いはずがないだろ!ちゃんと伝えないと、一生後悔して生きいくことになってしまう。


 でも、これ以上に俺がやれる事があるのか?


 

「あ」

 

 原作より時間が経ってるってことは電車に乗れるんじゃないか?


 原作だったら対決が早く終わったことと田舎だから電車の時間が合わなかったけどこっちは丁度間に合うかもしれない。


「早乙女!」


「ん?」


「駅に向かえ!本気出せば間に合う」


「わ、分かった」


「あとこれ!」


 俺はフミちゃん先輩が落とした携帯を早乙女に渡した。


 原作だとフミちゃん先輩は落としたまま行っちゃうからね。原作だと何回か電話がかかってきてたらしい。


「分かった」


 これで俺のやれることは全部やった、こっから運と早乙女次第だな。













 嘘だよね?おばあちゃんが危ないって。


 電話がきた時は信じられなかった。でも、いつかくる日がたまたま今日だったんだ。


 だからって今日は無いでしょ…。

 

 明日ちゃんと伝えるつもりだったの、嘘じゃないの。祥太くんが言ってくれたから後悔ないようにしようとしたんだよ?…今日は無いでしょ。


 まだおばあちゃんには伝えたいことがたくさんあるの。いっぱいありがとうって言いたい、いっぱいごめんって言いたい、まだいっぱい話したいって言いたい、…お願い。


「先輩」


「流星くん」


 自転車に乗った流星くんが私の前にやってきた。


「これで駅に向かってください」


「え?」


「今から頑張れば電車に間に合います。2人乗りより1人で行った方が絶対に速く着きます」


 焦ってたから頭に無かったけど流星くんが時刻表を見て判断してくれたのかな?

 

「それに2人乗りがバレたら大幅にロスしてしまうので、これで駅に向かってください」


 そう言って流星くんは自転車を私に差し出した。


「ありがとう。ちゃんと返すからね」


「頑張ってください。あ、あとこれも」


「あ、私の携帯」


 落としたまま来ちゃったんだ私。


「ありがとう。行ってくるね」


「はい」


 私は流星くんの自転車を借りて最寄りの駅に向かった。


 チラッと時間を見る、電車には間に合いそうで良かった。


 …お願い、間に合って。






 どうして待ってるとこんなにも時間が経つのがこんなにも遅く感じるの?遅い方が嬉しいんだけど、遅いと電車が来ないから嬉しくない。だったらさっさと電車が来ておばあちゃんに会った方が良い。


 何回も携帯を見て時間を確認する。何かの間違いで早く到着しないかな?


 私がソワソワしても電車が早く来るわけでもないのに。


 落ち着いて、今のうちにおばあちゃんに伝えたいことをまとめておかないと、会ってからじゃ言葉が出てこないかもしれない。




 来た!


 何を言うかイメージトレーニングしてたら電車が来てくれた。時間ピッタリ。


 早く!早く!早く開いて!



 早く閉まって!


 座っててもソワソワしてジッとしてられないから立って待つことにした。


 間に合わなかったらどうしよう?


 最悪な事な考えばかりが頭をよぎってしまう。


 どうして私はこんないつも遅いの?自分が自分で嫌になる。

 

 どうしてあの時祥太くんが言った言葉をちゃんと聞かなかったの?ちゃんとその通りにしとけば今みたいにはならなかったのに…。


 ごめん…。おばあちゃん。


 あの時恥ずかしかっただけなの、別におばあちゃんの事が嫌いとかじゃなくてこれからもずっと一緒だと思っちゃったから…。


 嘘じゃないの、私おばあちゃんのこと嫌いになったこと無いの。


 お願い。


 お願い…一言でも良いの。おばあちゃんと喋りたい。


 

 ピロリン♪


 …メール。


 メールを確認するとお母さんから『電話出来る?おばあちゃんが話したいって言ってる』って来た。



 で、電話?…電車の中で?


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