第14話

アイリーの濡れてつやつやに光る唇から名残惜しげに離して、至近距離でリエルはアイリーを見つめる。


ねっとりとした生々しい視線を感じたアイリーの身体は、薬のせいなのか、リエルのせいなのか、それとも耐え忍んだ反動なのか、何をされても感じてしまっていた。



「ねぇ、アイリー、今どんな感じ?」


「どん、なぁ…っあぁん、」


「教えて」



くちゃくちゃと厭らしい水音と身体が激しくぶつかる音が混ざり合う実験室。


リエルの後ろの方で一人で楽しんでいる助手の姿。


動く度に激しく波打つ手首を縛る鎖。


服とは思えないほどに原形のないドレス。



熱いも、苦しいも、辛いも、何一つ変わっていないけど今の状態を伝えるなら…、とアイリーはリエルの黒い瞳を見つめる。


あれ、黒?


そんなはずはないと思ったけど、それを考える余裕はなかった。さっきから頭の中には目の前のリエルのことしか浮かんでこない。



「リエ、ルっ…」


「どうしたの?」


「わたし…あな、た、が…ほしくて、」


「っ、あ、」


「ほしくて、ほしくて、たまらないのっ…!」



いっそう激しくなったリエルの腰の動きによって、アイリーは大きな声を上げた。


リエルは最後のトリガーを引いたアイリーの中に自分の全ての興奮を奥の、更に奥へとぶちまけた。



はぁはぁと息を大きく乱す二人は、目を合わせてこう言った。





「まだまだ足りない」と。

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