第1話
とある国には国民から「英雄」と呼ばれ、王様から大層信頼されていたまだ二十三歳の若き騎士がいた。
傷一つない綺麗な顔、青く澄んだ瞳、太陽と同じ色をした輝く髪、鍛えられた優美な肉体、親しみやすく誰に対しても隔りを持たず優しい英雄。騎士とは思えない程、穏やかの顔でいつも笑っていた。
英雄騎士は生まれ育ったこの広大で美しい国に住む国民達を守ることに誇りを持っていた。
幼き頃から亡き父に厳しく指南を受けた彼は特に剣の腕が良く、最強騎士とも謳われ、この国で彼より優れた剣士はいなかった。更には周囲の国からも一目置かれる存在でもあり、彼がいるからあの国は落とせないと思う人も多かった。
多くの貴族や庶民、皆が平等に彼を求めた。
女性達は美しく逞しい独り身の彼と一緒になりたいと近付き、男性達は彼の剣術を学びたいと弟子に志願する者も多くこの国には沢山の兵士達がいた。
そんな彼は今まで戦であらゆる敵を圧倒してきた。負け知らずの彼をよく思わない敵国は多く、大人数で一度に彼を狙ったがそれすらも跳ね除けて相手を無力化する実力が彼には備わっていた。
そんな時、彼が愛する国を攻撃する敵国が国境に突如現れて国を滅ぼそうと前進してきた。
まさに、それは不意打ち。迎え撃つ準備はしていなかった。
そこで国を守るため英雄騎士ナイトを筆頭に、ナイトを慕う約百名の兵士達は国境へと向かった。
頭も良く、軍師の役割も十分に果たせるナイトには王から追撃せよとの命令が下っていた。非常に厳しいその命令を実行するために敵を薙ぎ倒し、最低限の犠牲で済むように作戦を立てたナイトの手腕は見事なものだったと、ナイトと同じように戦場に立った者は口を揃えて言っていた。
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