なんとなく生きて
なんとなく生きているという感覚。日々が淡々と繰り返され、何をするでもなく、ただ時間が過ぎていく。それでも生きていくしかないから、朝が来て目を覚まし、またその日を迎える。
でも、この「なんとなく」って意外と悪くないんじゃないか、と思うこともある。急がなくてもいいし、無理に頑張らなくてもいい。ただ、自分のペースで生きることも一つの方法なのかもしれない。
SNSの投稿に流され、他人の楽しそうな様子を見て、ふと感じる孤独。でも、その孤独さえも悪くはない。何か大きな意味を求めることもなく、ただその瞬間を生きている感覚。それが心地よいと思う日もある。
夜、YouTubeのVtuberの声を聞きながら、カップ麺を食べる。彼らが楽しんでいるのを見ると、自分も何となく元気をもらった気がする。コメント欄でファンたちが集まっているのを見ると、何だか温かい気持ちになったりもする。
そして、画面を閉じ、電気を消す。明日もきっと、今日と同じような一日が待っている。何も変わらないかもしれないけれど、それでも生きていく。
「なんとなく」でもいい。生きている限り、少しずつでも進んでいければ、それで十分だと思う。
目を閉じると、ふと、今日が特別な日だったらどうしようかという思いが浮かぶ。でも、それがどうしても現実感を持たない。特別なんて、どこか遠いところにあるものだと思ってしまうから。
それでも、毎日が特別じゃなくてもいいのかもしれない。誰かのように大きな目標に向かって走るわけでもなく、ただ静かに時間が流れていくだけ。それでも、いつか振り返ったときに、この時間が大切なものだったと思えるような気がする。
なんとなく生きていても、誰かにとっては、ほんの少しの言葉や出来事が大きな意味を持つかもしれない。そして、自分がそうであるように、他の人もまた、何かしらの意味を見出しながら日々を過ごしているのだろう。
目を閉じて、深い眠りに入る前に、ただひとつだけ思う。明日も、きっと何も変わらない。でも、それでいい。今日も無事に終わり、また新しい一日が始まる。それだけで十分だ。
朝が来る。目を覚ますと、また天井が見える。昨日と同じ、何も変わらない天井。ベッドから出るのが面倒だなと思いながらも、体が無意識に動く。なんとなく、今日は何か新しいことがあるかもしれないという期待が、心の片隅にふっと現れるけれど、すぐにそれは消える。
シャワーを浴びる。冷たい水が体を目覚めさせる。服を適当に着て、外に出る気力もない。今日もまた、ウーバーイーツを頼んでしまうだろうな。やる気がないわけではない。ただ、何もやる気になれないだけだ。
それでも、少しだけ思うのは、「今日は少しだけ何かを変えてみようかな」ということ。でも、それを実行するのかどうかも分からない。
昼過ぎ。スマホの画面に目を落とし、また時間が過ぎていくのを感じる。誰かと連絡を取ることもなく、何かを始めることもなく、ただ日常が過ぎていく。
そのままでいい、と思う自分がいる。でも同時に、何かもっと深いところで違和感を感じる。こんなはずじゃなかったと思う部分もあるし、でも、今の自分にそれを変える力がないことも分かっている。
夜が来る。今日は何も変わらなかった。でも、それが普通で、日々は静かに過ぎていく。いつもと同じ夜、いつもと同じ一人の時間が流れていく。
明日も、きっと同じだろう。それでも、なんとなく生きている自分が、少しだけ肯定できるような気がする。
夜が深まる。静寂が部屋を包む。窓の外には、街の灯りが点々と輝いている。けれど、その光がどこか遠く感じる。誰かと繋がっている気がしない。まるで、部屋の中だけが全ての世界で、外の世界がどんどん遠くなっていくようだ。
手に取ったスマホが、いつの間にかまた何も考えずにスクロールしている。画面の向こうに流れる無数の投稿やメッセージ、でもどれも自分には関係ないような気がする。コメントを読んだり、反応することすら億劫だ。
そんな自分を、どこかで少しだけ責めている自分もいる。でも、責めても何も変わらないことも分かっているから、結局は何もできないまま。
布団に戻り、目を閉じる。明日のことを考えても、また同じような一日が待っているだけだろうと分かっている。変化を求めても、どうしても踏み出せない自分がいる。
それでも、明日が来る。そしてまた同じように生きて、また同じように日が沈んでいく。
そうして、なんとなく生きていく。何も特別なことはないけれど、それでも生きているということは、何か意味があるのかもしれない。
ふと、そんなことを考えながら、目を閉じる。
明日もきっと、同じような一日が始まるのだろう。
何となく生きて 友智コウ @kou412
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