六章 2
「少し席を外す」
「……最近は頻度が高いですね」
「もしかしたら……恋人!?」
「アホ言うな」
軽く会話だけして、俺は不届きものがいる潜伏場所まで向かうことにする。
「よお、いいものでも見えているのか?」
じっと、ルミエルのことを監視していたおそらく同業者と思われる男のそばにすぐに駆け寄ると、あまりの脈絡のなさに愕然とした男は勢いよく飛び退いたがその速度はルミエルはともかく、ルミエルの誕生日に襲ってきた殺し屋よりも格段に遅く背後に回り込むのは簡単だった。
「き、貴様はルミエル・ミンフェルの執事!?」
「そうだが、とりあえずお前はすぐに捕縛する」
「背後を取れたからといって舐めるな!」ガスッ!
「だからさ、遅いんだよ、お前」
俺は一瞥もせずに首を思い切り叩いた。そうしただけで、殺し屋の男は意識はすぐに落ちた。
「暗殺者が背後を取られるって意味をよく考えろよ、三流」
そうして、俺は殺し屋をその場に置いておいて、すぐ次に潜んでいるやつに向かっていた。
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