第33話再生数一万回突破

VRの動画はどうなっているのだろうかと気になった。


「ねえねえ、動画の動きはどう?無視されてる?」


「一万回の再生を超えている」


「えっ」


偽物だとか、嘘だとか、CGであろうとか思われてそうなのだが。


宇宙人が居るから、あり得ると思われたという感じなのかな。


一度人生ゲームを中断して動画のコメントを見てみることにした。


コメント


・これ、本物?


・偽物っぽ


・いや、本物!


・VR?


・ってことは、フルダイブVRなん


・んなバカな


・VRやりたい


・本物なら夢がある


・でもこの姉妹は確実に存在する姉妹


既に50件以上のコメントが書き込まれている。


まだまだ審議の段階じゃない。


しかし、そんな疑惑をモノともせずに彼女は日々VRのゲームについて解説して、どういうゲームかということを説明、解説、その他の事を付け加える。


ナターシャは単にぽつんと隣にいるだけの置物となっている。


母のジュスティヌは動画投稿を密かに見ているらしい。


感想を毎回伝えてくれるのだ。


可愛いとか、あそこが特に可愛いとか。


「ん?そういうことか。動画は、VRを売りたいから始めたのだな」


ご飯を食べながら動画投稿による経緯を伝えると、母は頷く。


「母もVRというものを売ってやる。道場の者達に」


と、言うが、それ押し売りにならないだろうかという心配が脳裏を過ぎたが妹はいたくお気に召した。


「母にしては粋な提案」


「ははは、そうだろうそうだろう」


「褒められてないよ」


2人のやりとりにツッコミ、傍ら、母は宣言した通り、道場の生徒にVRを売る。


さらっと世界初、現物を地球人に見せた形になる。


「あの、先生これは?」


「VRだ。フルダイブとか体験型とか、プロトタイプEと、作った時の事を聞かせられた。ゲームに必要らしい」


その発言に生徒達は目を見開きざわざわとなる。


「先生ってたしか、異星人だったよな?なら、これ、本物なんじゃ」


生徒達は興奮にVRを取り囲む。


「最近爆発的に噂に上る、VRか。地球じゃあくまで想像内の出来なんだが、これはどうやら例のゲームのような科学が関与してるってことか?」


「五千円なら、買っても損はありませんね」


安い、安過ぎる。


「ああ、投げられた甲斐があったってもんだ」


実はこの2人は政府の関係者だ。


ルビーの一家が遊びにきた時に調査を言いつけられた下っ端小役人。


それ以上でもそれ以下でもない。


なんせ、彼女らはあくまでも模範的な行動をしており、破壊活動なども行なってないからだ。


「おい」


と、噂をしていた真ん中を裂くようにジュスティヌが声をかける。


「お前達が体験したら、お上の申請も滞らずに滑らかにいくかもしれん。お前達、買え。買ってこの地球にVRを広めるのだ」


サラッと爆弾発言をされ、空気が止まる。


「え」


(バレてる!)


焦りが顔に出る。


(こら、動揺するな)


と、視線で怒るがそれをシレッとするジュスティヌ。


「ん?もしかしてよもや隠し立てが可能かと思っているのか?それは面白い。地球よりも我らの技術や能力が先を言っているのを知っているのに。こそこそせずとも一瞬で看破出来てしまうぞ?それに、看破したからと言ってお前達の行動に制限もかけやしない。する意味がどこにある?好きなだけ観察でもしているがいい」


と、裏がない太陽のような笑みを見せて、彼女は再度VRを進めた。


「うちの子達の動画はもちろん見ただろ?可愛いから感想は言わずとも分かる。ははは!そのゲームを拡張するためにVRを買って欲しいんだそうだ」


と、一度声を更に大きくする母親。


「本当は爆発的に広めたいから無料で配りたいらしいが、VRを売ったお金で更にゲームを作るらしいから、無料にするのは無理らしい」


一年後は更に改良したものを売るらしいから、無料よりは有料であった方が良いよとナターシャが勧めた。


VRは本物だと下っ端は察した。


最近動画投稿サイトに投稿されたVRはCGではないかと言われたが、映る内容の姉妹はルビー色の髪を持つ、宇宙人。


なにかと話題になりやすく、美しい子ども達。


地球としては関わるなと言いたい。


常識的に子供を見つけたらつけ回すなど、やられたくない。


それに見た目としても、宇宙人的価値を見れば誘拐されてしまうかもしれない。


が、聞いた話ではテレポートや瞬間移動が出来るのではという調査がある。


聞いた話では国を跨いでも、普通にホテルへ帰って来ているという。


「本物って感じがしますね」


吟味しても中身を見なければ結局分からない。


「ああ。よし、買うぞ!」


勢いに任せる事も必要なのだ。


「は、はいっ!」


部下っぽい男と、一つ上っぽい男が意気込んでVR機器を買う気になる。


損はない。


と、いざ買うと説明文も付属していた。


これは現在スマホゲームなどに対応しているアプリゲームの【私の贈り物】が出来るようになっており、そのほかのオリジナルのゲームも出来るらしい。


このアプリゲームは知っている。


ニュースでもよく取り沙汰され、いやでも目に入るくらい流行っている。

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