【第6話】巨大ウサギ

◯あなたを知ってる

クマンズが分離してからみんなは言葉には出さないものの、寂しさと心配が、常に付きまとっていた。特に同じ年代のクマンザ(#kumanza)は、相当応えたに違いない。下の階に降りれば今までクマンズが居たのに、今はちょうど並びのクマズン(#kumazun)の所に良く通っているようだ。クマズンも話し相手が出来て、気分が良くなってきているようだから問題は無いのだけれど…



…………………




「ここ数日、我々と非常に近い周波数が定期的に来ています。それも次第に強くなってますよ」



クマズンが複雑な回路がむき出しの基盤を持ちながら、話しかけてきた。



〜なんとも〜


そんな事ってあるのか?クマンザ(#kumanza)は巨大なソファーに腰を掛けて話を聴いていた。それはクマズン(#kumazun)のモノで、大きさがふたまわり以上も違う代物だった。




「しかしこのソファーいいね👍」




少し腰が弱くなってきたクマンザにとって、ちょうどいい大きさなのかも知れない。




「どうぞどうぞ!いつでも座りに来てくださいね!」



自分の船室に戻ろうとした時に、ガラスチューブの光の加減かどうかわからないけれど、何かが移動したようだった。白い物体のようだった。



船室に戻ってからも気になっていたクマンザは、普段そんなに見ることのない、眼下に広がる森を見ていた。



「誰も居ないけどな!」



別段気にしても仕方ないので、引越しで落ち着いたであろうクマンズ(#kumans)に連絡を入れる事にした。最初、なかなか受診されなかったが……しばらくして、



「やっと落ち着いたよ」



…話が通じた…



「ズーッと感じていた胸騒ぎの原因がやっとわかったよ」



〜クマンズは事の経緯を話し始めた〜



しばらくテレパシーでやり取りをしたあと…クマンザは遠い過去を振り返ってるようにも見えた。



〜窓の外の夕陽は…綺麗にその森を照らしていた〜



〜やはりいい事が起きる予兆だったのか〜



少し羨ましい気持ちもあった… が……(^^;



〜何やら近々手伝ってくれないかって言ってたな〜


俺にも良いことが起きれば良いなって思っていた時だった。目の前に巨大なウサギに似た物体が横切った。夕陽が船室に反射した瞬間、ほんの一瞬だった。



「おい!何だあれは!」



〜おい!ウサギか!それにしてはデカいな!多分先方も見られた事に気付いていないだろう。我々も普通は気付かないのが普通だから。一瞬の周波数の同調のズレ、何か起きた時以外はありえない。クマズン(#kumazun)は何で知っていたのだろう?波長の近い存在が近づいていることを気付いていたようだから〜


クマンザ(#kumanza)が眠りについた深夜に、一つの塊のような思念が送られてきた。夢でもない単なる思念だった。


その中身を知る事になるのは、目が覚めてから1時間くらい経ってからの事だった。


ちょうど食事が終わり、ティーを飲んでいたところに…




…//// 私たちはあなたを知っています……//////



〜ええっ〜何の事だ?〜



………………ಠ_ಠ






◯クマンザ(#kumanza)の記憶

〜昨日巨大ウサギから届いたテレパシーは

衝撃的な内容だった〜


〜私たちは遠い昔に、あなた方と同じ生命体として生きていました。光の親という存在がいます…大きな光です。ある時を機に積極的な部分と、優美さを表現する部分とに敢えて分離するために大きな分光を行いました。私たちはその後更に分光を繰り返し今に至りました。多分あなた達も分光されたと思います。私たちは何故かあなたの事を知っているのです。


あなたが今何て名乗っているかは存じ上げませんが、あなたから発せられる周波数は、とても懐かしいものでした。私たちをかつて導いて頂いた存在かも知れません。だから近づいたと思っても良いです。


いずれ分かるかと思いますが、今は現在置かれている環境と心境を真摯に受け止めて精進されます様にお祈り申し上げます〜




……………………




〜ちょっと待ってくれ〜

俺はそんなに偉くもないし、導いたり、

精進するようなモノでもないんだけどな〜



しかしクマンザは遠い記憶の中に、何となく感じるものはあったみたいだ。だけどよくわからない。今の自分ではないのではないか?


私たちの意識の中には、違った意識も同時に存在している事は昔聞いたことがある。一人であるようで一人ではない。この辺の話は難しい。正確に言い切れる人はまず居ない。




〜あの者たちは一体……



……そして光の親とは?

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