第31話 談話

静かな対局の夜

夜の作戦室。

山本五十六大将が将棋盤を前に晃司を見つめていた。


「晃司、今日は指すか?」


「いいですよ、リーグ戦でもやりますか?」


「いや、藤井が今日は都合でいない。普通にやろう」


晩が訪れ、山本と渡辺中佐がすでに作戦室で将棋を始めていた。晃司が現れると、山本が声を上げた。

「遅いぞ、晃司!」


渡辺がにやりと笑う。

「待っていたぞ。今日は五分に持ち込む!」


晃司は苦笑した。

「前より執念深くなってませんか、中佐?」


「山本長官とは75時間耐久で対局したんだぞ!」


「…それ、将棋じゃなくて拷問みたいですね」


渡辺の気迫に押され、晃司は席についた。作戦室には将棋の駒を打つ音が響き渡り、三人の対局は明け方近くまで続いた。


翌朝の提案

翌日、晃司は忠和と朝食を取りながら話を切り出した。

「忠和、今日は一花と胡桃に会いに行こう。史実の確認をしたい」


「史実?フランス解放のことか?」


「そうだ。山本長官にも兵学校に一報を入れてもらった。昼頃に出発する」


昼過ぎ、晃司と忠和は海軍兵学校を訪問し、草鹿任一学校長に挨拶した後、一花と胡桃の寝室を訪れた。


四人の談話

晃司がノックすると、一花の声が響いた。

「はい、どうぞ!」


部屋に入ると、一花と胡桃が迎えた。


「やあ、一花、胡桃」

「忠和さん、晃司さん、いらっしゃい!」


晃司はすぐに話を切り出した。

「今回、俺たちはフランス解放作戦に参加する。そのため、特に一花の史実の知識を借りたい」


一花は真剣な表情で頷いた。

「分かりました。私が知っている限りのことをお話ししますね。少しメモを取りますので待ってください」


彼女はフランス解放に関する知識を詳細に語った。


マイクロ波兵器の進展

話が一段落すると、胡桃が話題を切り替えた。

「ところで、私たちも最近進展がありましたよ」


忠和が興味深そうに尋ねた。

「どんなことだい?」


「静岡の牛尾実験所でマイクロ波兵器の開発を提案しました。人体への非殺傷的な影響や電子チップの破壊などが目的です。特許申請や印税の話も進めています」


晃司は感心して頷いた。

「マイクロ波兵器か…。胡桃、ちゃっかりしてるな」


一花が冗談交じりに言った。

「本当ですよ。胡桃はちゃっかりしているけど、要領がいいんです」


胡桃が笑って答える。

「一花だって、最近は仕事柄、口八丁になってきたわよ」


笑い声が部屋を満たした。


帰路にて

夕方になり、晃司と忠和は帰路につくことにした。

「遅くなるからそろそろ帰るよ。また来るね」


一花と胡桃が見送る。

「お気をつけて!」


大和への帰り道、晃司と忠和は改めて任務の重さを感じながらも、心の中に静かな決意を抱いていた。


日本の未来を賭けた戦いは、確実にその一歩を進めていた――。


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