第30話 日本の情勢と動向

フランス解放の依頼

イギリス首相ウィンストン・チャーチルは、ドイツに占領されたフランスを解放するため、日本に海軍力の提供を依頼した。吉田茂首相はこれを受諾し、日本海軍軍令部および連合艦隊に正式に命令を下した。


永野修身大将率いる軍令部は、フランス解放のための作戦を練り、連合艦隊司令長官山本五十六大将が指揮を執ることとなった。この重要な任務のため、山本は連合艦隊の主要な司令官や参謀を招集し、さらにイギリスのアンドルー・カニンガム元帥、ジェームズ・サマヴィル元帥、そしてソ連のゲオルギー・ジューコフ元帥らと連携を図るため会談を行った。


特に、以前のセイロン沖海戦での南雲忠一中将率いる第一航空艦隊の勝利が、サマヴィル元帥に怨恨を抱かせないよう、山本自身が直接交渉にあたるという慎重な配慮がなされた。


永野と伊藤整一中将は事前にサマヴィル元帥と面会し、旧怨を完全に払拭。両者は信頼関係を築くことに成功した。


連合艦隊会議の招集

連合艦隊司令部において、山本五十六は各司令官や参謀を招集し、作戦会議を開催。しかし、ドイツ軍の強固な防衛やフランス国民の安全を考慮した場合の課題が山積し、結論には至らなかった。


その後、岡本晃司少佐が山本に直談判した。


「長官、今回の作戦について提案があります。私と渋野忠和中尉の知識を最大限に活用し、具体的な策をお示ししますので、私たちの正体を知る方々のみで小規模な会議を開いていただけないでしょうか」


山本は晃司の真剣な提案に頷き、対象者をすぐに招集した。


作戦の提案

集まったのは、宇垣纒参謀長、黒島亀人首席参謀、南雲忠一中将、草鹿龍之介参謀長、源田実中佐、山口多聞司令官、岡本晃司少佐、そして渋野忠和中尉であった。会議の冒頭、山本が忠和を正式に紹介した。


「皆、渋野忠和中尉だ。彼は岡本少佐と同じく未来の防衛大学校の出身者であり、今回の作戦に関与する。忠和、自己紹介を」


「初めまして。渋野忠和と申します。歴史上の偉大な方々とこの場にいられることを大変光栄に思います」


軽い挨拶が終わり、山本が晃司に話を振る。


「さて、岡本少佐。作戦を説明してくれ」


晃司と忠和は二人で練り上げた作戦案を発表した。


「フランス解放に向けた一歩として、パリ奪還を主軸に据えます。この動きはフランス国民の士気を大いに高め、ドイツ軍の戦線を撹乱するでしょう。また、我々の作戦はフランス各都市への被害を最小限に抑えることを前提に立案されています」


南雲中将が鋭い目つきで質問した。

「岡本少佐、それが可能ならば既に案として採用されているはずだが、具体的にどう進めるつもりだ?」


忠和が即座に応じた。

「南雲長官、私の知識を元に、フランス各地の地理的特性を活用します。さらに、イギリス軍およびソ連軍の協力を得ることが不可欠です。我々の提案が彼らの作戦を補完する形で進められれば、成功の確率は格段に上がります」


イギリスとソ連への働きかけ

山本は提案に納得し、早速イギリスとソ連の司令官たちに作戦を持ちかけた。イギリスのカニンガム元帥とサマヴィル元帥、ソ連のジューコフ元帥らは、晃司たちの知識に信頼を置き、計画の採用を決定した。


また、フーヴァー所長が以前、日本には「未来を見通す者がいる」と話していたことが、彼らの説得材料となり、協力体制が迅速に整えられた。


準備と一時帰国

後日行われた会議で山本は報告した。

「イギリスとソ連は現在、戦闘準備を進めている。だが、大規模な作戦だけに時間を要する。我々も準備のため一旦帰国する」


南雲中将が確認する。

「日本にも準備期間が必要です。帰国後、連絡があり次第出動する形ですね」


山口多聞司令官も同意した。

「連絡を待ちながら、それぞれの艦隊を整えましょう」


山本が全体を見回し、締めくくった。

「他に質問はあるか? なければこれで解散とする。皆、それぞれの持ち場へ戻り、準備を整えてくれ」


こうして、日本、イギリス、ソ連の連携はさらに深まり、大規模作戦に向けて着々と準備が進められていった。


次なる展開へ

帰国後の日本では、作戦の準備が加速。連合艦隊は万全の態勢を整え、フランス解放に向けた決定的な一手を打つべく動き始める。歴史の流れを変えるこの作戦の成功は、日本のみならず、世界全体の未来を左右するものとなるだろう。


戦いの幕が再び切って落とされる――。

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