第11話 行動 ― 主人公編2

新たな任務

山本五十六大将は作戦室で渋野忠和をじっと見つめ、口を開いた。


「早速だが、渋野君。君に重要な任務を与える。内容を説明するから心して聞いてくれ」


忠和は姿勢を正した。「承知しました、山本長官。詳細をお伺いします」


山本は深い声で説明を始めた。「現在、日本は新たに樹立された毛沢東率いる中華人民共和国と対峙している。この国の背後には、かつて大日本帝国の首相だった近衛文麿がいるとされており、彼の指導のもと、中国は復讐心を胸に、日本を標的にする可能性が高い。


そこで、連合国の一員である我々日本は、まずイギリスとの協力を強化する必要がある。そのため、インド洋方面の防衛が急務だ。敵が攻撃を仕掛けるとすれば、ニコバル諸島周辺が最も可能性が高い。君には、この地域の防衛作戦に参加し、第五艦隊の細萱戊子郎中将の参謀として任務に就いてもらう」


忠和は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに冷静に質問した。「インド洋方面の防衛任務ですか。その詳細と、私に求められる役割についてお聞きしてもよろしいでしょうか?」


山本は頷いた。「細萱中将には書面で命令書を準備する。その任務の内容を、君が自ら手渡し説明してほしい。作戦の具体的な決定は現地で細萱中将と相談のうえ行ってくれ。また、中将の下にいる角田覚治少将とも連携してもらう。いずれもミッドウェー作戦時に岡本少佐や園田中尉の正体を知らされている人物だ。君が未来から来た存在であることは理解しているだろう」


忠和は真剣な面持ちで答えた。「わかりました。初陣ではありますが、与えられた任務を全力で遂行し、細萱中将、角田少将、そして山本長官の信頼を裏切らないよう努力します」


山本は満足そうに頷いた。「その意気だ。成功すれば君を中尉待遇で迎え、正式に連合艦隊の参謀として任命する。今回の任務を通じて、君自身の可能性を証明してほしい」


参謀たちとの邂逅

山本は続けて、忠和に紹介したい人物がいると告げた。「宇垣纒参謀長と黒島亀人首席参謀だ。彼らは連合艦隊の要であり、君の能力を評価してくれるはずだ」


山本が手配すると、ほどなくして宇垣が現れた。


「山本長官、ただいま参りました」宇垣は軽く敬礼し、部屋を見渡して驚いた表情を浮かべた。「岡本少佐じゃないか! 久しぶりだな。園田中尉と一緒に突然消えたと聞いていたが、どうしていたんだ?」


晃司は笑顔を浮かべた。「お久しぶりです、宇垣参謀長。一旦元の世界に戻っていました。そして、またこの世界に転移したというわけです」


宇垣は驚きを隠さない。「元の世界に戻っていたのか…。それでまたこの世界に戻ってきたと?」


「はい、ですがあちらでは1か月も経たないうちにこちらに戻ってきたんです」


宇垣が納得した様子で頷いたところに、黒島が姿を現した。


「山本長官、黒島亀人参謀、参りました」と部屋に入るなり、黒島は目の前の晃司を見て声を上げた。「なんだ、岡本少佐じゃないか! 久しぶりだな。園田中尉も一緒じゃないのか?」


晃司は丁寧に応じた。「お久しぶりです、黒島首席参謀。今回は園田中尉は一緒ではなく、確認されているのは私と渋野忠和だけです」


晃司は続けて忠和を紹介した。「こちらは私の未来での同期生である渋野忠和です」


忠和は真剣な面持ちで一礼した。「初めまして、黒島首席参謀、宇垣参謀長。岡本晃司の防衛大での同期生である渋野忠和です。お会いできて光栄です」


黒島は感心した様子で微笑んだ。「君も未来から来たのか。なんとも不思議な話だが、君の能力が楽しみだ」


任務への覚悟

山本は、忠和に課される任務を二人の参謀にも伝えた。「渋野君にはインド洋方面の防衛を任せる。この任務が成功すれば、彼を正式に中尉に昇進させ、連合艦隊の参謀として迎える予定だ」


宇垣は真剣な表情で忠和を見つめた。「初陣となるが、責任感があれば大丈夫だろう。慎重かつ大胆に動ける人物だと感じる」


黒島も軽く頷いた。「渋野次期中尉、期待しているぞ。失敗しても挽回できるのが戦場の常だ。プレッシャーを感じすぎないようにな」


忠和は緊張を抱えながらも笑みを浮かべた。「ありがとうございます。初陣であることを忘れず、一歩一歩確実に歩を進めます」


山本は部屋を見回しながら言った。「今日はこれで解散とする。渋野君、任務については細萱中将と相談しながら進めてくれ。皆、持ち場に戻ってくれ」


未来への希望

作戦室を出る際、忠和は晃司に小声でつぶやいた。「お前が後押ししてくれたおかげだ。感謝するよ、晃司」


晃司は肩を軽く叩いた。「成功させてこそ感謝を受け取るよ。やってみせろ、忠和」


忠和はその言葉に頷き、新たな使命への覚悟を固めたのだった。

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