第10話 行動 ― 主人公編1
大和への道中
広島港へ向かう車内。草鹿任一、岡本晃司、渋野忠和の三人は、日本海軍の誇る戦艦「大和」に向かっていた。
渋野忠和は真剣な表情で口を開いた。「なあ、晃司、少し頼みたいことがあるんだ」
晃司が振り返る。「なんや、改まって」
「山本長官に会ったら、俺に任務を与えるよう進言してくれないか? そして、それが成功した暁には、中尉待遇で俺を大和の艦橋に配置してほしい。お前の地位と面識を活かして、頼むよ」
晃司は苦笑しながら頷いた。「ええで。お前がそれだけ真剣なら、俺も全力で協力するわ。成功させる自信あるんやろ?」
忠和は力強く頷いた。「もちろんだ。お前と違って俺は実戦経験がないが、やる気と戦略の勉強量だけは負けてないからな」
「期待してるで」と晃司が応じたところで、草鹿校長が微笑む。「熱意は大事じゃのう。君たちの若さが眩しいよ」
広島港の巨影
三人が広島港に到着すると、眼前にそびえる大和がその雄大な姿を見せた。
「これが大和か…!」忠和は圧倒されていた。「戦艦ってやっぱりカッコいいよな。こんな巨大な艦、実物を見ると鳥肌が立つ」
「俺らの時代じゃ、戦艦なんかもう廃れてしもたけどな」と晃司が言う。
草鹿校長が首をかしげた。「君らの時代には戦艦がない? 主力は何になるんだ?」
「空母です。この時代でも空母が台頭していますが、未来では完全に戦艦を駆逐しています」と晃司は答えた。
草鹿は深く頷いた。「未来の戦術も興味深いものだな。だが、今は現実の戦艦を頼らねばならん。とにかく、艦橋へ向かおう」
艦橋での出迎え
艦橋の入り口で、士官が三人を出迎えた。
「ここから先は艦橋です。許可がなければ入れませんが…あれ、岡本大尉…いや、昇進して少佐になったんでしたね?」
晃司は軽く会釈する。「お久しぶりです。山本五十六長官にお会いしたいのですが、ご在艦でしょうか?」
士官は敬礼して答えた。「長官はいらっしゃいます。草鹿校長と岡本少佐、それに同僚の方が来られたと伝えて参りますので、少々お待ちください」
数分後、艦橋の奥から威厳ある男性が現れた。山本五十六大将、その人だった。
山本長官との再会
「おお、晃司ではないか!」山本長官は朗らかに笑い、手を差し伸べた。「久しぶりだな。草鹿校長も元気そうだ」
晃司は深々と礼をして応じた。「お久しぶりです、長官」
草鹿も続けた。「ご無沙汰しております、山本長官」
山本は三人を作戦室へ案内した。「詳しい話はここでしよう」
作戦室に入ると、山本はまず晃司に問いかけた。「永野総長から聞いたが、君と園田中尉が突然姿を消したと。どういうことだったのだ?」
晃司は眉をひそめながら答えた。「実は、一旦元の世界へ戻っていました」
山本は驚いた様子を見せた。「元の世界に…それで?」
「そちらでは一か月も経っていませんでしたが、こちらでは半年ほどが経過していたようです」
「時間の流れまで違うのか」と山本が呟いた後、晃司は忠和を紹介した。「長官、こちらは防衛大学の同期で、渋野忠和です」
忠和は緊張しつつ礼をした。「お初にお目にかかります。お会いできて光栄です、長官」
山本は笑顔を浮かべた。「晃司君のルームメイトか。頼もしい仲間が来てくれて心強い」
任務への挑戦
その後、忠和は席を外し、晃司は山本に提案を持ちかけた。
「長官、忠和に任務を与えていただけないでしょうか? 彼は防衛大でも優秀で、私がその能力を保証します。成功した暁には、中尉待遇で彼を大和の艦橋に迎えてください」
山本は真剣な表情で頷いた。「中尉待遇か…興味深い話だ。彼に目ぼしい任務を与えるとしよう。詳細は彼が戻り次第直接伝える」
その時、草鹿が席を立った。「私はここで失礼しよう。渋野君に挨拶を済ませたら、兵学校に戻る」
山本は頷いた。「草鹿校長、ご苦労だった。渋野君には私から任務を与えるから、君の仕事はここまでだ」
草鹿が退出した直後、忠和が戻ってきた。
忠和の決意
「お待たせしました」と忠和が戻ると、山本は彼に向き直った。「渋野君、君に任務を与えたい。その成果次第では、中尉待遇で君を大和の艦橋に迎える」
忠和は目を見開き、力強く頷いた。「ありがとうございます! 必ずや成功させてみせます」
山本はその熱意に満足げな表情を浮かべた。「では詳細を伝えよう。任務の内容は――」
新たな任務を得た忠和。彼の挑戦が始まろうとしていた。
次回、物語は忠和の任務に焦点を当て、さらに深まる戦局の中で展開される。
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