第38話 絆レベルの上昇はアナウンスが知らせてくれる。じゃあ、絆レベルの上昇を知らせてくれるあんたの存在って


  〈カッター君との絆レベルが3になりました〉


 お、カッター君との絆レベルが3になった。


 ん。意識が。


  

 「絆を育んでるようだね」


 「そのようだな」

 「で、あんた誰」


 さっきまでいた、おっさんの小汚い自室ではない。

 綺麗な部屋だ。

 

 この部屋は、加齢臭が充満していない。


 「私は、絆レベルの上昇を知らせる者」


 「へぇ」


 「貴方はカッター君との絆レベルが3になったんだよ」


 「うん、アナウンス入ってるし」


 「え」

 「アナウンス」


 「うん」

 「だから、あんたが教えてくれなくても」

 「アナウンスで教えてくれる」

 「けど、今回が絆レベル上昇のアナウンス入ったのが初めてだから」

 「毎回レベルが上がる事にアナウンス入るってわけでもないようだな」


 「そう」


 絆レベルの上昇を知らせてくれる男は、落ち込んでいる。

 彼が絆レベルを教えてくれなくても、アナウンスが教えてくれるなら。

 それなら、彼は。

 彼の存在は。


 「ありがとうな」

 「教えてくれて」

 「2回言ってくれたら」

 「より記憶にも残るし」

 「助かる」


 「そう」


 不憫に思い慰めの言葉をかけるが、まだ落ち込んでいる。

 無理もない。


 「次も教えてくれな」


 「どうかな」

 「僕がわざわざ知らせなくても」

 「アナウンスがあるしね」


 絆レベルを教えてくれる男はまだ落ち込んでいる。


 「じゃあ、もう戻っていいよ」


 

 ん。

 おっさんの小汚いアパートの一室に戻ってきた。


 「主、どうしたんだ」

 「餃子口にいれたまま止まっちまって」


 「いくらレンチン冷凍餃子がうまいからって」

 「ずっと口の中に入れないで、咀嚼したほうがいいぞ」


 「餃子を口に入れたまま止まるのは」 

 「礼儀がなってない」


  兵隊達が心配している。

 あの時間、ちゃんと同じ時間が立ってるのかよ。

 こーゆー時ってさ、時間としては一瞬の事になるんじゃないのかよ。

 まったく。

 困るなぁ、絆レベルの上昇を知らせてくれる男君。

 次からは、戻ってきた時に、時間としては一瞬の事にしてくれないと。


 「ああ、絆レベルの上昇を知らせてくれる男君と」

 「喋ってたんだ」


 「誰だ、それ」

 「今、ここにいないだろうが」


 「ああ、今ここにはいないけど」


 「なんか、きれいな部屋で」

 「こんなおっさんの加齢臭の充満した小汚いぼろっちくて汚いアパートの一室じゃなくてさ」

 「そこで、絆レベルの上昇を知らせてくれる男君と話してたんだ」


 「ふぅん」

 「初耳だな」

 「そんなシステム」


 「お前ら、そういう経験ないのか」


 「ないな」

 

 「ないのか」

 「そんなものか」


 異世界転生者の俺だけの、特別なシステムか。


 「異世界転生者ってのは」

 「色々あるんだろ」

 「特別な事が」


 「そうだな」

 「異世界転生者ってのもいいもんだな」

 「なにか特別なシステムとか特別ななにかが色々あって」



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