第34話 カッター君に、俺の玉太郎君を握らせる


  「見せてもらったぞお前さんの戦い」


 左右の内側と外側が大きく切り込みのある袴姿の女装したおっさんが、声をかけてきた。

 袴の和装だが、和装かこれ。

 というようなコスプレドスケベ衣装で、上半身はお腹をそのまま露出している。


 なんでこの異世界は女装した男が多いんだよ、ちくしょう。


 「そうかい」

 「見物料はいらないが」

 「おひねりをくれるってんなら」

 「もらってやるよ」


 「ああ、おひねりしてあげようかね」


 !!


 「離れろ主!」


 スリ男A君とカッター君が止めに入ろうとするが、まるで間に合わない。


 俺の、玉太郎君が、おっさんに握られる。


 「ほい、おひねりっ」

 「と」


 !!玉太郎君!!


 「ぁぁぁぁああああ!!!」


 痛みと喪失感が、充満する。


 おっさんが後ろに下がり、スリ男A君が俺の前に立つ。


 カッター君が、カッターを持ってスリ男A君より先に立つ。


 「下がれ、カッター君」

 「お前じゃかなわない」


 カッター君も、かなう相手ではない事はわかっている。


 「俺達の負けだよおっさん」

 「そして、俺の玉太郎君も無事だ」

 「下がれ、カッター君」

 「な」


 カッター君に、俺の玉太郎君を握らせる。


 「無事だ、玉太郎君」


 「本当だ」

 「無事だ、主の玉太郎君」


 「ほらな」

 「玉太郎君に切りかかるのはかんべんな」


 「私は何もお前さん達を潰しにきたわけじゃない」

 「ましてや、その少年以外は」

 「潰すにも小さすぎるに小さすぎる」


 「光栄だね」

 「俺は潰すに小さすぎるに小さすぎるって事はないんだな」

 

 「お前さんも潰すには」

 「まだ、小さすぎるにすぎるがな」


 「目的はなんだよおっさん」


 潰すつもりなら、簡単に潰せたはずだ。

 いや、潰すというより、ひねれたはずだ。

 俺の玉太郎君を。

 あの時、実際に痛みがあった。

 ひねらずして、ひねった痛みと玉太郎君の喪失感を与える。

 それだけの技術があるのだろう。


 「私は、技の後継者を探してるんだ」 

 「お前さんのさっきの戦いを見て」

 「軽く体験レッスンさせてみるかと、な」


 「そうかい」

 「だがあいにく」

 「俺は今空腹値が危険でな」

 「金もないし、まずは金を稼いで飯をくわなきゃなんだ」

 「また、今度でいいか」


 「飯なら食わせてやる」

 「私の家にきなさい」


 「断る」


 「きなさい」


 「しつこいおっさんだな」


 「仕方ないから、4人でご馳走になってやるよ」

 「せいぜい失礼のないようにおもてなししろよ」

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