第13話 救助
「助けに行かなくちゃ。」
燃え盛る都市に向かって歩みを進める。
ここまで簡単に記憶が蘇ったのには訳がある。
一つが勇者の因子が記憶の封印自体を異常と判断し、解除を試み続けていたため。
一つが記憶を封印していた媒体が破壊されたため。
そして最後の一つが…術者の魔力供給が途切れたからである。
このような持続的な効果のある魔術を行使する場合持続的に魔力を供給し続ける必要がある。
この魔力供給が途切れてもしばらくは術が持つのだが魔力供給が途絶え、媒体が破壊され勇者の因子が抵抗し続けていたため三つの条件が揃い次第記憶の封印が解けた形となる。
街は酷く壊れていた。
街を覆う城壁は破壊され、門の扉は完膚なきまでに破壊されていた。
近くには常駐の兵士たちの無残な死体が転がっていた。
その人たちに協会にいる間に覚えた短い黙禱をささげた後、使えそうな剣を借りていった。
「森の中にいた魔獣たちがこの町に一斉に襲い掛かったのか…。」
「それにしても酷いな、本来なら土に埋めてあげたいけどそんな時間もないし…。」
そのあとも軽くあたりを探索したが魔獣も生存者も居なかった。
生存者もいなかったというのはおそらく魔獣にやられたであろう無残な死体が転がっているばかりだったからだ。
「建物も焼き払われている…、これじゃ人も残っていないだろう…。」
耳を澄ますと遠くのほうから戦闘音がきこえて来る。
「いそごう!」
駆け付けた先では人々が逃げ込んだ教会を司祭や聖騎士、冒険者が協力して戦っている。
「バリケードを設置する暇すらなかったんだ…。僕も加勢します!」
教会を囲んでいた魔物たちは害虫級・野獣級が9割以上を占めているが所々に災害級と思われる個体も混じっていた。
害虫級の群れを切り開きながら協会の中に入っていく。
アレンを迎えてくれたのは小さい頃からよくかまってくれたシスターさんだった。
「あ、アレンさん!森のほうに薬草の採取に行ってから帰ってきてなかったから心配したのよ。その怪我はどうしたの!」
「あーこの怪我ですか。これは森で僕の知らない魔獣と遭遇した時に戦闘になりましてその時にできたものです。」
そして安全なところまで帰ってこれた安堵感からか今までの疲労や怪我、毒などの症状を実感してふらついてしまった。
「あの、
「は、はい!」
「全ての時代でともにあり命を育む水よ、我が望む癒しの力を彼の者にとどけよ!
怪物から受けた怪我が治り命の危機から脱したことが分かる。
続けてシスターさんが呪文を唱える。
「全ての時代でともにあり命を育む水よ、彼の者を蝕む毒を癒したまえ!
アレンの顔色が明らかによくなったのを見てシスターは安堵の息を吐く。
「ありがとうございます。じゃあ僕も行って来ますね。」
アレンは先ほどに比べて力が満ち溢れてくるのを感じた。
アレンが一度覚醒させた勇者の力は記憶の封印と共に封印されていた。
きっかけとなった出来事を封印されていたからだ。
その記憶の封印が解かれた今アレンの力は圧倒的に増大していた。
(それでも災害級とやりあえるかどうかぐらいだが。)
教会の建物をでて戦闘を始めるとあっという間にゴブリンやウルフなどと戦うことになった。
ゴブリンは殴ったりけったりしてくるが難なくはじくことができるしウルフたちの速度に若干翻弄されつつもかみつきやひっかきをはじくことができる。
だが突如後ろから攻撃を受け、バランスを崩してしまう。
「なんだ!」
振り向いたところにいたのは図鑑にも乗っていたゲイルエイプと呼ばれるサル型の魔獣だった。
主に高速移動での攻撃をしてくる。単純な攻撃力自体は低いものの毒を爪から出していたり、体から毒を散布することもできる野獣級+である。
「キ、キキー!」
「く、動きがとらえきれない!」
(ギリギリのところではじけてはいるがいつまでもつか…。)
そして相手の攻撃がいったん止まり一息つくとゲイルエイプが増えていた!
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ゲイルエイプ
等級:野獣級+
特徴:爪から毒を出したり体からも幻覚毒を散布し、高い攻撃速度を誇る
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