第12話 記憶

「本当に誰も襲ってこないな。」


ウルフを追いかけて森の中を歩いてい時々、小鬼ゴブリンという代表的な魔獣に出会ったがそいつらもウルフと同じ方向に走り去っていった。


「ん?なんかウルフ達が走っていった方向が明るいな、何があるんだ?」


そのまま歩き続けていると切り付けられたような跡がある木を見つけた。


(これは・・・僕が探索する時に残していった跡!この跡、ウルフ達が走っていった方向に繋がってるな。)


跡を辿って歩いていくと自分が野営をするために準備した焚き火の成れの果てがあった。


「ここで後も途切れてる・・・ここに来るまではこの跡もつけてなかったし薬草を取りながらだったけどほとんど真っ直ぐにここまで来たからこの先は・・・アラス!」


こうして考えている間にもオークが近くを通り過ぎてゆく。


(あの方向にたくさんの魔獣が走っていっていた!まさかあの魔獣達の目的は都市の強襲!ありえない!本来こんなに魔獣達が一斉に同じ目的を持って行動するのはそれこそ厄災級の魔族が指揮をとっていなきゃ起こらない。だとしたらまずいぞ、僕一人が行ったところでそんな奴がいたら何が変わるとも思わないけど一人や二人ぐらいなら助けられるはずだ!急がなきゃ!)


ダダダダダ




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「ハァハァハァ、後ちょっとで森を抜けられるぞ。」


(あ!見え・・・た?)


そこに写っていた光景は火の海が広がっていた。

聞こえてくるのは人の悲鳴、戦闘音、物が燃えることによってパチパチと弾ける音。




どこかで見たことがある。

母親が自分を地下室に押し込める。

悲鳴が外から聞こえる。

父親が今までに見たことがないような顔をして家を出ていく。

母親も出ていく。

悲鳴が聞こえる。

音が聞こえる。

声が聞こえる。

逃げてと、逃げろと。

鉄と鉄がぶつかるような音。

悲鳴が聞こえる。

悲鳴が

       悲鳴

   悲鳴


                  悲鳴


          悲鳴



     悲鳴


                悲鳴が聞こえる。



悲鳴がそれを呼び起こした。

封印された記憶。

幼い子供の精神を守るための魔術。



燃えてもえて炎えてもえて爆ぜてはぜて



転がっている臓物、苦痛に歪んだ顔、物言わぬ屍。



自分に向けられる初めての敵意。

明確な殺意。


      死



大切な家族の死



その子供が耐えるにはあまりにも辛い、重い記憶。


だが、今まで自分を騙し続けてきたハイフォン達に対する怒り、罵倒は浮かんでこなかった。


確かに、泣いた、悲しんだ。

だが、僕が自分を保つためには必要だったことなのだと理解していた——否、理解した。


封印されていた記憶が解かれ、その記憶の正体を知ったからそう思った。


それでも普通だったら怒るだろう、暴れるだろう、罵倒するだろう、その点はやはりアレンは勇者なのだろう。



アレンは立ち上がった、頬に垂れる涙を拭って。


「急がなきゃ。」


『助けられる命があるなら。』


やはりアレンは勇者主人公だった。


ゴブリン

等級:害虫級−

特徴:スライムと同じくらいこの世界では一般的な魔獣

緑色の肌と強い繁殖能力をもつ


オーク

等級:野獣級

特徴:大きな棍棒(そこら辺の木をへし折った)をよく持っている

豚みたいだけど二足歩行している生物

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