第13話 2体の魔物

「きゃー」


 聞き覚えのある声の方をみると襲オペラがいた。リンはもしもの為にユウリから渡さていたマグナムで魔物を攻撃しオペラを助けた。


「オペラ!」


「えっリンちゃん?どうしてここに」


「そんなことより早くここから離れるよ」



「オペラなんで魔物が街中にいるの?」


 近くの路地裏に入りオペラから事情を聞く。


「今日街に服の買い物にきてたの。買い物を終えて店の外に出たらさっきのがいて」


「軍の人は魔物の侵入に気づかなかったの?」


「あたしも信じられないんだけど店の外で突然小さい男の子が苦しみだして魔物に変化したの」


「人が魔物に?そんなことってあるの?」


「普通はありえないわ」


「グルル」


 魔物がリンたちを見つけ睨みつけている。


「ひっ」


 オペラは魔物に怯え腰を抜かしている。


「オペラちゃんこいつを引きつけるから軍の人を呼んできて」


「リンちゃんも逃げないと」


 魔物が2人に向かって腕を伸ばす。リンはオペラを蹴り飛ばし伸びてきた手を避ける。


「お前の獲物はこっちだ」


 大きい声をだし注意を引き奥の方に走る。魔物は反応しリンを追いかける。


「思ったより早い」


 お店のものを倒したりマグナムで攻撃したりするが魔物は速度を落とさず追いかける。

 魔物は大きく飛びリンの上にのしかかり長い爪を構える。


「あっやばい」


氷槍アイスランス


 爪が目の前に迫ったとき、突然氷の槍が魔物に突き刺さる。


「大丈夫だったかリン」


「ユウリ大佐!?」


 魔法を放ったのはユウリ大佐だった。


「なんでここに?」


「魔物が出たと聞いて出動したらちょうど女の子がわたしの友達を助けてって言って魔物が進んだ方向を教えてくれたんだ」


「それでここに…」


「グルル…」


「腹に穴空いてんのにまだ生きてんのか。しぶといな」


「ガアァ」


 魔物はユウリ大佐に爪を振りかざす。


障壁バリア


 障壁が魔物のつめを弾く。


「あばよ」


火炎竜巻フレイムトルネード


 魔物は炎の竜巻に巻かれ苦痛の声をあげる。


「グガァ」


「これで終わりだ」


 ユウリは氷の槍で魔物を突き刺して倒した。


「やっと終わったか。リン大丈夫か?」


「大丈夫…渡されてたマグナムが役に立ったよ」


「そいつは良かった」


「リンちゃーん」


 オペラがリンの元に駆け寄る。


「怪我はない?骨折とかもしてない?」


「怪我とかはないよ。心配かけてごめんね」


「よかったー。軍人さん友達を助けてくれてありがとうございます」


「どういたしまして。こいつのことは俺に任せて2人は避難所にいきな」


「分かりました。リンちゃん行こう」


 オペラはリンを引っ張っていった。

 ユウリは倒した魔物をみる。


「これは…人?一体どういうことだ?」


 ユウリは近くの物陰から誰かの気配を感じとる。


「誰だ!」


 物陰に近づくがそこには誰も居なかった。


「気のせいか。とりまこれを持って帰るか」


 ユウリがいる場所から少し離れた場所にある建物からレイスは現場を観察していた。


「被検体が軍に取られてしまいましたか。まぁでも所詮は失敗作です。引き続き成功作の捜索を続けましょう。それとあの娘どこかでみたような…」



 パチ屋前にて

 煙草を片手にグリスが翼と尻尾の生えた魔物と対峙していた。


「サキュバスがパチ屋に何用だ?」


「※※※※※」


「ん?何ていってるんだ?」


 サキュバスはグリスに何かを訴えるかのように見つめる。


「そんなに見つめられても困るんだが」


「そこの方ー危ないですよー」


 奥から白衣をきた男性が走ってくる。


「誰だお前」


「レイスと申します。あなた魔物を目の前にして何してるんですか!早く逃げましょう」


 先程まで大人しかったサキュバスがレイスを見た途端に攻撃体勢になる。


「(人が見てる中回収するのは無理ですね。仕方ないこいつはここで殺しましょう。)彼女私たちを殺るつもりみたいですね。一緒に戦ってくれませんか?」


「俺が?お前と?サキュバスぐらい1人でいけるだろ」


水球アクアボール』『電撃サンダー


 グリスは連発で魔法を放つ。


「これやるよ。あんた少し下がってろ」


 レイスは後ろに下がる。

 持っていた煙草を投げる。サキュバスの近くに煙草がきたその瞬間大きく爆発した。


「ぎゃあー」


 彼女は爆発に巻き込まれ焼死した。


「煙草がバ、爆発した」


「魔物は倒したし打ちにいくかー」


 グリスはパチ屋に入る。


 焼けたサキュバスにレイスは近寄る。


「はぁ、彼女はそれなりに適合できたのに残念です。やはり難しいですね魔物と人間の完全な融合は。何はともあれ急いで被検体を回収しなければ。逃げ出した被検体は3体、その内の2体は失敗したので残りは一体。何処にいるのでしょうか?」



 オペラとリンは避難所に着くとたくさんの学生がいた。その中にはオーリーとテオスがいた。


「リンさん、オペラさん2人とも無事だったんですね」


「えぇなんとか」


「ここなんか学生が多いね」


「実は学生寮の近くにも魔物が出て」


「寮にも出たの?!」


「はい。ですがそいつは人を襲わずにどこかに行ってしまったみたいです」


「どのくらいここにいるの?」


「ボクとテオスは避難所にきてからだいたい2時間くらいですね。そろそろ出ても大丈夫だと思いますよ」


「そうだといいね」



「避難者の皆さん、街に現れた魔物は全て倒しました」


 避難所に軍の人が入り現れた全ての魔物を倒したことを伝える。


 避難所の人たちが魔物が倒されたことと家に帰れることに喜ぶ。


「ボクたちは寮の他の方が心配なので帰ります」


「あたし達も帰ろう」


「そうだね」


 こうして3体の魔物の出現により起きた事件は解決したのだった。



 その日の夜、ユウリと斑鳩は休憩室で話していた。


「あー疲れた」


「戻ってきて開口一番がそれかよ」


「しょがねえだろ。仕事を徹夜で終わらせて休めると思ったら魔物が出たので出動してくださいだぜ?」


「確かにキツイな」


「なぁ蓮、現れた3体の内の2体は俺と民間人がやったが残り1体は誰がやったんだ?」


「お前がやったんじゃないのか?」


「いや俺も探してたんだけど最後の1体を倒したって聞いたんだよ」


「ちょって待って俺やお前が倒してないなら誰がやったんだ?マリーやケネスか?」


「いんやあいつらは今回出動してない」


「最後のやつを倒したという情報は嘘の可能性がある。そんで3体目のやつはまだ生きてどこかに潜んでるじゃないか」


「おいおいマジかよ仕事増えるじゃねぇか。この前の森の件もあるのに」


「そんじゃあ早く片付けるしかないな」


「残業確定…」


 残業と仕事が増えることに絶望したユウリであった。


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 グリス 今回のギャンブル結果

 5,000→50,000 (+45,000)

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