エネルギーを取り出そう3

 翌週、稲田先輩が小箱を抱えて部室にやって来た。

「O大の知り合いに頼んで、大学の工作センターで魔法の板? 杖?で動作する小型プラズマボールのガラス球を作ってもらったわ。最小ロットが100だったので念のため200個」

箱から直径2cm位のガラス球を、摘み出して見せた。

「先輩、支払いはどうしたんすか? これオーダーメイドでしょ。部の活動費で払いきれ無いんじゃ……」

「『困っているの……』と言いながら、奴の手を両手で握ったら、一発だったわ」

 そう言えばこの人も部長タイプだった。目的のためには常識が家出しちゃうような……。

 うちの活動大丈夫だろうな? 一線を踏み越えてないよな?


「普通のプラズマボールは、中心電極とガラス面の間に高電圧高周波数の交流をかけて、無意味に稲光を発生させているの。でも稲光そのものは基本直流。今回は、雷から電気を取り出すのだから、追加の回路なんてほとんど要らないわ。中心電極からガラス面に雷を落とし、中心電極とガラス面に溜まった電気を回収するだけよ。要は電圧が高いだけで、電池と仕組みは同じね。これをズラッと並べたなら動作が派手に見えて良いでしょ」

稲田先輩の分かるような分からないような早口の話が終わった。

 偉そうに話す先輩に若干イラッとしたのは、俺が電気を理解していないせいだろう。さすが「電気バカ」……。


「ところで、雷の連発? 継続発動?の方は、解決したの?」

 コクコクと部長と健太が頷いているが、なんか目が泳いでいる。女性相手にそれは悪手だと思うんだが……。ほら。

「何か隠してるわね!」

「いや、隠してるというか。余りの馬鹿馬鹿しさに、面目が立たんと言うか……」

「……雷、一発ずつ落とすイメージをやめて、火球のように存在し続けるようにイメージしたら、出来た」

「工夫も努力も、要らなかった。なんか悪い……」


 また何か新しい手品か! ほんとにうちの部活、製作系だよな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る