第15話

「で、あながち嘘でもなく本当に来たわけだがこの状況に至った経緯が全くわからん」



「ごめん。とりあえずそれは後に回しといてくれ。あ、この唐揚げ定食お願いします」



「焦らすのかよ。あいよ」




唐揚げ一丁、と大きな声で言って飯田くんは他のテーブルに注文を取りに行ってしまった。



学校を出たあと、悟にああ言った手前夜ごはんは他のところで食べるしかなくて。しかも飯田くんの家に行くって言っちゃったし、それなら飯田くんのところでごはん済ませちゃおうという結果が現在の状況である。



ちなみにここは飯田くんの家が経営している定食屋で飯田くんはそのお手伝い中。アットホームな感じでお客さんもそれなりにいて繁盛しているみたい。



料理のできる人手が欲しいらしくそれで悟にバイトに来てほしいとあれだけ言っていたのだ。うん、これなら安心して悟に勧められるね。



しばらくすると唐揚げ定食が運ばれてきてちゃんと「いただきます」と手を合わせてから箸を持った。繁盛しているだけあっておいしい。悟の作るやつよりはガッツリな味付けだったけどその分白いごはんが進んだ。



お客さんの数が少なくなった頃、飯田くんも手が空いたらしくデザートを対価にさっきの説明を求められたので簡単に説明する。まぁデザートなくてもするつもりだったけどね、もらえるものはもらいますよ。




「ふぅん?それでここまで来たわけ?」



「いえす」




こくこくと頷く。デザートご馳走様でした。芋羊羹、大変美味でございました。




「まぁ悟はわたしのことなんて気にしてないと思うけどねー」

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