第11話

ずーんと落ち込むわたしに訝しげな表情を浮かべる飯田くん。そんなにわたしの落ち込んだ姿が珍しいか。



「(え、道宮なんか変じゃね?なんでこんなテンションダダ下がりなわけ?)」



「(今この子の心脆くなってんのよ。ガラスのハートなのと。大目に見てあげなさい)」



「(まじか。明日は雨だな)」



「(天気予報は晴れだったけどもしかするわね)」



「聞こえてるぞそこのお2人さん」




え、聞こえてたの?みたいな目で見るんじゃない。絶対わざとだろ。飯田くん限定で目潰しするぞこの野郎。(なお紗衣はのちの報復が怖いので絶対にしない。もししたならば明日の日の目は拝めないと確信している)



笑い混じりで謝られてむっすりしながらお弁当を食べ進める。このまま話していたら絶対授業に間に合わない。こんなおいしいお弁当を残すわけにはいかない。残したら作ってくれた悟に申し訳ないし。



一度時間内に食べきれなくて残しちゃったら「おいしくなかった…?」って悲しそうにするんだもん。



しゅん、と耳と尻尾をしおれさせた子犬、もしくはうさぎを彷彿とさせる姿だった。罪悪感でされたこっちの方が泣きそうになったわ。



もくもくと箸を動かしている間、食べ終わっている紗衣と飯田くんの話に耳を傾けていると飯田くんが「そういや、」と話題転換。




「さっきは道宮だけの特権とか言ってたけどそれもあと少しかもな」



「お弁当の話?」



「そ。だって羽野、好きなやつにはお弁当作ってあげたいよねって言ってたらしいしそのうちそいつにも弁当作るんじゃね」

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