本物の愛
佳月
「好きです、付き合ってください」
「付き合いたいっていうけど、私の事好きなら、愛してるなら、守りたいなら!私がもし誰かに命を握られてて私を救うためには、私以外の他の女とヤらなきゃいけないって、それも私の目の前で。できる?私の目の前で愛してる人の目の前で他の女抱きながらイける?ねえ」
「なんで、なんでそんな」
「答えられないの」
「…他の女抱かなきゃ君を救えないのなら、俺は誰であろうと抱くよ。それを見られた君に嫌われても、それで俺と別れても君がどこかで幸せに生きてたら、俺はその選択をするよ。これはその場しのぎの答えじゃない。いついかなる時も俺はこう答えるよ。ただ、君が他の男と俺の目の前でヤらなきゃ俺が死ぬってなってたら、つまり逆の立場であれば、俺は舌を噛みちぎって自害する。頭をコンクリートに打ち付けて死ぬよ。君が俺以外に汚されてる所なんて見たくないし、君がヤリたくない奴とヤらなきゃいけないなんて状況をつくらせてしまった俺の生涯の恥だから。君は俺以外の野郎に抱かれない」
「…ちょっと待って、あなたのその理論でいくと私何もしないままただ突っ伏してる人じゃない。自分だけ気持ちよくならないでよ、変態。恋人同士ならフェアにいかなきゃでしょうが。」
「君が舌を噛みちぎってコンクリートに頭を打ち付けるの?そんな所も見たくないよ」
「ええ、どんな方法でも死んでやろうじゃない潔く。あなたの言ってる理論は筋が通ってないわ。無しよなし、あなたは無し。」
「君は甘えられず育ったの?」
「前後の文脈がめちゃめちゃね。…そうね、そんな自分を許そうとも思わなかったけど」
「俺なら君を一生甘やかしてみせる」
「あら、宣言してる時点で私を甘やかせてないわよ。私に言わせない思わせないくらいじゃないと、甘やかすんだったら。何とは無しに言っちゃって、全く腹立たしい」
「そうだね、君の考えは筋が通ってる。そういう所が好きだ」
「物好き」
「どうかな。じゃあ2人で死のう、君が俺とフェアになりたいと思ってくれるなら、俺は他の女を抱かないし君が目の前で殺されたら俺も直ぐに死ぬよ。舌噛みちぎってコンクリートに打ち付けてね。君も俺が目の前で殺されたら、君も死んで」
「そんな事言われても、わたしは矢張りあなたを本気で好きになる事は無いと思うわ」
「恋人になっても?」
「ええ、あなたの願望でいくと私は好きでもない人と付き合って、好きでも無い人のために私は死ぬのね」
「俺の願望は君と両想いになることだよ。まぁそうだね、死んで欲しい。君の理論でいくなら、2人で死のうよ」
「馬鹿みたい、恋なんて愛なんてくだらないわ。でもこんなくだらないことで死ねたらいちばん楽なのかもしれないわ」
「うん、俺と付き合って」
「付き合うことに意味を見出そうとしてる人間が嫌いなの、いい加減話を聞いていれば分かってちょうだいよ」
「嫌いな人間と付き合えるなんて凄いチャンスじゃない?普通嫌いな人とは同じ空気吸うのも考えたくないでしょう」
「嫌いな人と付き合っても嬉しくも悲しくもないわ」
「君だって感情というものに意味を見出そうとしているじゃないか。人間は愚かだから意味や理由を付けようと、見つけようとしなきゃ言動できないんだよ」
「私もあなたもその愚かな人間なのよ、くだらないじゃない。くだらないものとくだらないものばかりがくだらない戯れで幸せだと思ってるのが本当に哀れだわ」
「君も哀れだよ、とても」
「そうね、あなたも哀れだわ」
本物の愛 佳月 @sou_0
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