第20話

オメガ・ダンジョン 崩壊

クロノス 撃破


「……終わったのか?」


黒い霧に包まれていた空間が徐々に消え、俺の視界がクリアになっていく。

気づけば、俺はダンジョンの入口に立っていた。


「凌!!」


レイが駆け寄ってくる。


「お前、本当にクロノスを倒したのか!?」


「ああ。」


俺は肩の傷を押さえながら、ゆっくりと頷いた。


クロノス——ヴァルハラの黒幕を打ち倒し、俺は未来予知を超えた戦いを手に入れた。


だが、終わりではない。


クロノスは最後に言った。


「次はお前が“クロノス”になる。」


「……ふざけんなよ。」


俺は空を見上げ、拳を握りしめる。


俺は誰の道も継がねぇ。

俺は俺の未来を創るだけだ。


世界が風間凌に注目し始める

配信を確認すると——


【視聴者数 32,000人】


「マジか……!」


コメント欄は爆発的に盛り上がっていた。


『クロノス討伐!! こいつ伝説になったぞ!』

『風間最強!風間最強!風間最強!』

『ランキング10位の先へ……これは世界に名を残す戦いだった!』

『神配信感謝』

『歴史が変わる瞬間を目撃できて感動してる』

『未来予知を超えた男……風間凌、お前が最強だ!!』


俺のチャンネル登録者数も10万を突破していた。


「これでお前は、もう完全に“トップ配信者”だな。」


京が腕を組みながら言う。


「ただし、お前がクロノスを倒したことは、すでに世界中に知られている。」


「……?」


「つまり、これからお前を狙う奴らは、クロノスだけじゃない。」


「……!」


京が続ける。


「世界ランキングのトップ配信者たちが、お前に注目し始めてる。」


「……そりゃまた、大ごとだな。」


「いや、それだけじゃない。」


カインが静かに言った。


「ヴァルハラの黒幕・クロノスを倒したことで、世界の勢力図が変わる。」


「どういうことだ?」


「ランキングの向こう側には、ヴァルハラだけじゃない。」


カインが端末を操作し、画面に新たな組織の名を映し出す。


『オメガ・ファクション』


「……?」


「ヴァルハラとは別に、この世界を支配しようとしている組織だ。」


「つまり、俺は新たな敵を作っちまったってことか?」


「そういうことだ。」


「……っは。」


俺は笑う。


「面白ぇじゃねぇか。」


「お前、マジで戦うつもりか?」


レイが少し呆れたように言う。


「当然だろ。」


俺は剣を握りしめる。


「ヴァルハラをぶっ壊したんだ。次の敵が来るなら、それもぶっ壊すだけだ。」


オメガ・ファクションの刺客、襲来

その時——


『風間凌、5秒後に襲撃される。』


未来予知コメントが流れた。


「っ!」


俺は即座に振り返る。


「くそ……もう来たのか!?」


上空から、一人の男が降りてくる。


全身を漆黒のスーツに包み、顔を隠した謎の戦士。


「お前が風間凌か。」


「……誰だ?」


「俺の名は、アスモデウス。」


「アスモデウス……?」


「オメガ・ファクションの処理部隊、“エグゼキューター”の一員だ。」


「処理部隊……?」


「クロノスを倒したお前は、俺たちにとっても脅威となる。」


「だから、ここで消えてもらう。」


「……!」


「行くぞ、風間凌。」


彼は、手のひらを前に突き出した。


次の瞬間——


「——ッ!?」


俺の体が、一瞬で地面に叩きつけられた。


強烈な重力波が、俺の体を押し潰す!


「が……ッ!!」


「お前の未来予知は、俺の“力”には通じない。」


アスモデウスが不敵に笑う。


「俺のスキルは“グラビティ・ドミネーション”——重力を操る能力だ。」


「くそ……!!」


体が動かない。


「風間凌、お前の時代はここで終わる。」


アスモデウスが剣を振り上げる。


「……終わるわけねぇだろ。」


俺は歯を食いしばりながら叫ぶ。


「未来は、俺が創るって言っただろ!!」


俺の全力の叫びに、視界の向こうで何かが反応する。


『風間凌、新たな力が覚醒する。』


「……ッ!!?」


俺の体に、未知のエネルギーが満ちていく。


「なんだ、これは……?」


アスモデウスが動きを止める。


「これが、俺の“新たな未来予知”だ。」


「……なに?」


「未来を予測するんじゃない——俺が、未来を創る。」


俺は、圧倒的な力の解放を感じながら、アスモデウスを睨みつけた。


「行くぜ……!!」


新たな力が覚醒する!!!

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