第3話
「配信終了っと……。」
俺はダンジョンから脱出し、自室のモニターを確認した。
視聴者ゼロのままクリアした初めてのダンジョン配信。
普段なら何の意味もないはずだったが、今日の俺は違う。
──未来予知コメントがある。
──それを活用すれば、俺は無敵になれる。
「問題は……このコメントの正体なんだよな。」
改めて配信のアーカイブを見返すが、予知コメントは一切残っていない。
つまり、リアルタイムでしか見えないということか?
「これはチートどころの話じゃねえ……。」
考えても仕方ない。
なら、この力を使って成り上がるだけだ。
翌朝、俺はいつものようにカクヨム……じゃなくてストリームハンター(架空の配信プラットフォーム)のランキングをチェックする。
「……え?」
目を疑った。
俺の配信がランキングに載っている!?
普段は1万人以上の視聴者を集める人気配信者しか乗らないデイリーランキングに、
視聴者ゼロだった俺の配信が突如としてランクインしていた。
「バグか?」
慌てて詳細を開くと、そこには……
『未来を予知する新人配信者!? 奇跡の立ち回りに視聴者騒然!』
『なぜか視聴者ゼロなのに、最適解を連発!? 不可解なプレイに注目が集まる!』
どうやら、俺のアーカイブを見た人たちがSNSで拡散し、話題になっているらしい。
「マジでバズってる……!」
コメント欄も大荒れだ。
「こいつ、マジで未来視してるのか?」
「罠を回避するタイミングが完璧すぎる」
「視聴者ゼロって何? どうやって攻略情報を知った?」
視聴者ゼロのまま“神プレイ”を連発する配信が不気味すぎて、逆に注目を集めているらしい。
「これ……ワンチャンあるぞ。」
このまま配信を続ければ、トップ配信者になれるかもしれない!
「よし、次はワンランク上のダンジョンに挑戦するか。」
ランキング入りしたとはいえ、まだ俺は底辺配信者。
この勢いを利用して、一気に実力を示す必要がある。
そこで選んだのは、【地下迷宮・第二層】。
今までのダンジョンより難易度は2段階上がるが、未来予知コメントさえあれば問題ない。
「視聴者数は……おお、3人!? いや、普通に増えてる!?」
『伸びそうだから古参アピールしとくわ』
『風間さんおはです。』
なんと、俺の配信にリアルな視聴者が入ってきた!
今までゼロだったのに、ついに“俺を見てくれる人”が現れたんだ!
──だが、その時だった。
『風間凌、次のダンジョンで死ぬぞ。』
配信画面に、突如として不吉なコメントが流れる。
「……え?」
今までの予知コメントと違い、妙に冷たい文章。
しかも今回は“確定した未来”のような言い方だった。
「冗談だろ……?」
このコメントが正しいのだとしたら、
次のダンジョンで俺は死ぬ運命にある……?
俺は突然背筋がゾクリとするのを感じた……
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