第19話

「僕の6人の恋人」19


それから数週間経った。


僕は喪を度々呼び出しては一緒に散歩をしたり、ゲームで遊んだりした。


そんなある日、喪から家に来てほしいというメッセージが届いた。


断る理由もないから僕はゆいの家に向かうのだった。


僕「お邪魔しま〜す」


喪「ん…待ってた…」


僕「それで…今日はどうしたの?」


喪「そうだね…今日は僕の過去のことについて話しておこうと思って…」


僕「過去のこと?」


喪「もう10年以上も前の話なんだけどね…」


僕「・・・」


喪「ゆいがまだ小学生だったとき…」


喪「ゆいはクラスメイトからいじめられていたんだ…」


僕「!」


喪「ゆいがその辛さに耐えきれなくなって…」


喪「ゆいの精神は崩壊しかけていた…」


僕「・・・」


喪「でも…ゆいは追い詰められた状態の中で1つの選択肢が輝いていた…」


僕「・・・」


喪「"人格解離"。生きたまま辛い記憶から逃れられる手段を彼女の脳が選択した…」


喪「自分が体験した精神的苦痛やそのときの感情を別の人格に全て背負わせることができる…」


喪「そうすれば…自分は苦しまずに済む…それが人格解離…」


喪「ゆいは当時の記憶と感情をその別の人格に全て背負わせた…」


喪「といっても…彼女がそれを選んだわけじゃない…」


喪「彼女の脳がそれが正しい選択だと判断したからだ…」


喪「そうして…ゆいの中に一番最初の人格…"喪"が生まれた…」


つづく…

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