第13話

「僕の6人の恋人」13


それからまた数日経ったある日、ゆいからメッセージがきた。


家に来てほしいとのことだった。


今回は一体どういう要件だろう?


〜ゆい宅〜


インターホンを鳴らす。


玄関からゆいが出てきた。


ゆい「さぁ、遠慮なく入って!」


僕「あぁ…お邪魔しま〜す…」


やっぱり二度目とはいえ緊張してしまう…


〜ゆい部屋〜


僕「それで…今日はどうしてここに呼んだんだ?」


ゆい「実はね…今日はとある子と仲良くなって欲しいの」


僕「とある子?」


ゆい「うん…」


ゆい「その子はね…」


と、ゆいが言いかけたそのとき…


???「おにいちゃんがゆいねえちゃんのかれしぃ?」


と、ゆいが言い出した。


僕「!」


さすがにびっくりした…


さっきまでもじもじしてたゆいとは雰囲気がまるで違う…


やっぱりゆいは多重人格なんだなと改めて思わされる…


そう思っていると…


ゆい「こら!勝手に出てきちゃダメだってあれほど…!」


ゆいがまたそう言いかけたとき…


???「だってぇまちきれなかったんだもん!」


また交代した。


するとまたゆいが戻ってきて…


交代して…


正直何を見せられてるのかわからない…


誰か僕を助けてくれ…


〜閑話休題〜


ゆい「恥ずかしいところ見せちゃってごめんね…」


そう言って顔を真っ赤にするゆい。


僕「大丈夫?」


ゆい「うん…大丈夫…」


ゆい「さっき見てもらった通り…あの子は"憑依人格"なの…」


僕「"憑依人格"…」


憑依人格。


僕も多重人格について調べた時に読んだことがある。


多重人格には"憑依型"と"非憑依型"の2つに分けられる。


憑依型は主人格…つまりゆいの意識を乗っ取って行動するタイプ。


非憑依型は意識を共有するタイプって考えるとわかりやすいかな?


おそらくゆいの中にいるアキラやカーリーは非憑依型だったんだろう。


だけど今回の人格は…


???「おにいちゃん!いっしょにあそぼ!」


こういうタイプらしい…


さて…どうしよう…


子供の相手なんてやったことない…


ほんと…どうしよう…


とりあえず言われた通り一緒に遊んであげるか…


〜お遊び中〜


積み木を組み立てているその子に声をかけてみた。


僕「君のお名前はなぁに?」


一応子供の目線に合わせて、子供口調でそう聞いてみた。


???「ぼくぅ?」


と言いながら自分に指をさしている。


僕「そう。君のお名前は?」


???「ぼくのなまえはね…"るうと"っていうの!」


つづく…

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