第21話 空間
平日、精神が安定せず鬱々とした気分が続くのは平日の夜に家にいるのが良くないのかもしれないと思って、帰宅のついでに図書館に寄った。日々夜な夜な雑念を抱え悶え苦しんでいるのが自宅なので、嫌な考えと自宅という存在が互いに結びつきすぎているのではないかと考えた。自宅は嫌なことを考える場所という考えがこびりついてしまっているのかもしれないと考え付いたのだ。そういうわけで平日の帰りに図書館に寄った。午後7時くらいに到着した。ほぼ頭は働いていないが、なんとなく本を探そうとふらふらさまよった。ふとメンタルヘルスの本棚のところに行きつき本を広げてみるが心身の疲労のせいで全く読む気がしない。とりあえず椅子に座ろうと思って二冊ぐらい手に取り、椅子に崩れ落ちるように座った。荷物を下ろしスーツのジャケットを脱ぐと開放感があった。この解放されない押さえつけられているような感覚の一つの要因は服装のせいなのかもしれないと思う。自分が気分の上がらない服装を毎日着ているというのが一つ気分を鬱々としたものにさせていることを最近よく感じている。しかしそれを解消しようと思って最近新しい靴を5000円で購入したが、一日で靴擦れを起してしまい、二日目はそれを履くことができなかった。5000円を無駄にしたことに自分に対して怒りと絶望感を覚えた。すべてが空回りし裏目に出て逆効果になっていることにいら立つ。そんなことを考えているせいでページをめくることが一向にできない。もうこれはダメだとあきらめて本を膝の上に置き、ぼーっと虚空を見つめることに専念することにした。起きているのか寝ているのか自分でも分からないような状態で、気が付いたら40分くらい経っていた。図書館の閉館のアナウンスが流れた。図書館の静寂と環境音に救われ、リフレッシュできた気がした。
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