それぞれの
冷たい水で顔を洗うと、全身が眠りから覚めるようだった。透明な雫が白い陶器に落ちて流れる。
タオルを手に取り顔に当てて正面の鏡を見る。色々考えて寝てしまったけれど、クラムの心は想像よりすっきりしていた。
今日、『先生』に会う。
タオルを握る手に力がぎゅっと入る。体が緊張しているのがわかる。久しぶりだ、昨日姿を見たけれど、それだけでも心は激しく動揺した。
昔みたいに、普通に話せるだろうか。
先生は用事があったから来ているだけだろうけれど、それとは関係ない話も、多少はするだろう。こうして時間が確保されて、話せる時間がしっかりととれるのは、二年ぶりくらいになる。
気づかないうちに息をついていると、ふわりとコーヒーの香りがしてくる。思考がそちらに移り変わり、タオルを元の場所に掛けて廊下へ出た。
キッチンでは先生がコーヒーを入れていた。粉になったコーヒー豆にお湯を注ぎ蒸らしている。廊下から現れたクラムに気づいて、目を向ける。
「おはよう」
「おはようございます」
クラムはキッチンの棚の方へ向かい、自分のカップを取り出し、少し止まって振り返る。
「飲みますか?」
「いや、今日はやめておくよ」
言って先生はまたお湯を注いでいく。銀色の湯入れの細い口から熱い湯が流れていく。
「今日は、私たちが村に行くことになる」
クラムは先生の方を見る。
「何か連絡が来たんですか?」
「いや、昨日の夜に、私からそう伝えておいた」
電話をしたということだろうか。先生の表情は見えず、長い三つ編みの先だけ眺めて視線を棚に戻す。
クラムは一つだけのカップを持ってテーブルに行く。タイルで出来たコースターの上に置くとカチャリと陶器の触れ合う音がする。丸めた毛布の方を見ると、パシュカはもう起きて、ボールを噛んで遊んでいる。クラムは思わず笑みが溢れる。あとで一緒にご飯にしよう、と考えて、カーテンの閉まっている窓の方を見た。
そちらへ寄り、窓を開けると、潮風が穏やかに流れ込んでくる。昨夜の雨で濡れた草が雫を湛えてきらきらと、生き生きと輝いている。空には雨雲が切れ切れに浮いている。今は空も晴れているが、まだ雨は続きそうだ。
(雲は海から生まれる、か)
心の中で呟く。どこかの本で読んだ言葉だ。山や街からも生まれるから、割合の話にはなるだろうけれど。
「私も、先生とお揃いのお皿、作ろうかな」
今度は声を出していた。独り言のように言い、それ以上の考えがあるわけではない。グラスバードは目を閉じて静かに笑うと、コーヒーに湯を注ぎ足す。
燃やさないでくれよ、と野暮なことは言わなかった。
家の鍵を閉め、クラムは灯台の方を見上げる。白い外壁に、チェスの駒のような外観。地球上で誰かがしているゲームなら、盤上のどこを取る駒になるのだろう。
「クラム」
先生の呼ぶ声に、名残惜しげにしながら振り向いてそちらに行く。先生はいつもの羽織と杖だけ。クラムは小さな籠と紙袋を持っている。籠の中に入っているのは昨日渡すことのできなかったパウンドケーキだ。
風に揺れる草原の中を歩きながら、半歩だけ前を歩く先生の杖の動きを追う。
「先にシーバリたちのところに行くつもりだったけれど、連絡するのを忘れていたね」
朝早いから、まだ起きてないかもしれない、と話す先生に、クラムは笑った。
村へついてみれば、もう動き出している人も多かった。農作業をする人たちなどは朝が早い。先生は人に関わることになる前に細道に逸れていく。いつものことだなと思っていると、今回は事情があった。
「先にアンジェリカのところに服を届けに行こう」
そうだった、とクラムは自分の持つ紙袋を見る。パシュカに引っかかれた部分が裂けてしまったのを、直してもらおうと思って持ってきたのだ。
「アンジェリカさん、寝てるんじゃないですか?」
早起きの印象がシーバリよりなく、クラムは尋ねる。
「寝てるか起きてるかじゃない、起こすんだよ。じゃないと一日中寝ているんだから」
クラムは苦笑する。相変わらず辛辣である。長年の付き合いの信頼が成せるものなのだろう。
そうしてアンジェリカの店に着いたが、思っていたのと違い、ドアには開店の札が掛かっていた。中に入ってみれば、しっかり電気もつき、カーテンも開いている。そしてカウンター奥の椅子に座っていたのは意外な人物だった。
「ダスキートさん」
よお、と言うついでに大きな欠伸をする。眠そうに、近くの台に肘をつき頬杖をついている。
「何してるんだい、こんなところで」
グラスバードがさして興味もなさそうに尋ねる。
「昨日夜までここで飲んでたんだよ。そのまま店番してんの」
「アンジェリカさんとですか?」
クラムは村人たちの交友関係に詳しいわけではないが、この二人が一緒にいることがあるのは知らなかった。
「ああ、アイツとは気が合うんだ、話も面白いしな」
先生があからさま考えられないというような表情をするのでクラムは笑う。ダスキートからは見えなくてよかった。
「クラムは知らないだろうが、夜にはこの店は酒場みたいになって、村の飲める連中は集まってんだぜ。一度夜に来てみるといい」
まだ酔いが残っているのだろう、クラムは相槌のように笑う。先生の表情は見えない。
そのまま、ダスキートにパウンドケーキを渡し、紙袋も任せて家を出た。アンジェリカは今家の方にいるらしく、すぐ戻っては来るとのことだった。うまくいけば、村から帰るときには直し終わっていて、持って帰れるかもしれない。
細道を歩く先生の背中は広い。見上げるが、揺れる三つ編みからは気持ちは読めない。ダスキートの話の時から、グラスバードはあまり口を開いていない。
「夜……」
呟く声が聞こえて、クラムは足元に向けていた視線を上げ、再び先生の顔の方を見上げた。
「行きたかったら行ってもいいんだよ。私の許可なんてあっても無くても。酒はまだ飲んではダメだけれどね」
クラムは視線を下ろす。
「行きませんよ」
それ以上は言わなかった。クラムはここへ来てから、一人で遠出をしたことがない。先生を守らないといけないからだ。望んだこともなかったけれど、グラスバードにとっては気にかかっていたことらしい。
「先生が一人になりたいときがあったら、そのときだけ外に出ますけど」
冗談のように言ったが、先生は何も返してくれない。気に障ったかなと思ったが、間を置いて返事はくる。
「そういえば、キミと暮らしてからは、そんなこと思ったことがないな」
グラスバードにとっては心からのただの呟きだったが、クラムの胸にはかなり不意打ちにクる言葉だった。後ろを歩きながら、今は振り返りませんようにと、少し熱くなった耳で願った。
カンカンと聞きなれない、何かを打つような音が響いてきてクラムは空を見上げた。二羽の鳥が音のした方から飛んでくる。
着いてみれば、音の当人はやはりシーバリだった。先生もそう見当をつけていたようで、玄関のドアを叩くより先に家の裏側へ回った。
家の裏には幸いなことにシーバリともう一人、気のいい若者も一緒だった。
「やあ、魔法使いさん、お嬢さんも」
首にかけた白いタオルで額に浮かんでいた汗を拭う。若者も「おはようございます」と気持ちのいい挨拶をくれ、グラスバードとクラムもそれに答える。
「何か作ってるんですか?」
「ああ、棚の修理じゃよ。昨日の夜に頼まれてな」
シーバリは村唯一の大工だ。頼られることも多く、家にいることは少ないが、村人との交流は多い方だろう。
「仕事には困らなさそうだね」
「ああ、最近も家を建て始めてね。村の反対側の端のあたりだが、若者たちに手伝ってもらってやっとるよ。家を建てるの自体珍しいし、また見に行ってみてくれ」
確かに、クラムがこの地へ来てから村に新しい家が立つのは初めてだった。先生を見上げると、視線に気付いたようにチラとこちらを見てまたシーバリへ向く。
「ああ。気が向いたら行ってみるよ。そういえば木戸だが、今日全て閉めてきてみたよ。全部いい具合だ。長く持ちそうだね」
「そうじゃろ、これでわしが生きとる間は安泰じゃよ」
シーバリは軽快に笑う。クラムはその言葉に相槌のように笑顔だけ見せた。
二人にお礼のパウンドケーキを渡すと、とても喜んでくれた。若者の方には娘さん用に二個渡した。どうぞあげてくださいと言うと、嬉しそうに笑う。
「ありがとう。また娘にも会いに来てやってよ、若い女の子は少ないからさ」
クラムはその言葉には笑顔だけ返した。手を振って二人とは別れた。また同じ細道を通って帰る。道は影になっていて暗いが、見える空は青く鮮やかだ。見上げながら、ぼうっと歩く。
クラムの頭の中には、先ほどの二人との会話が残っている。中でもシーバリの言葉が反芻される。
『わしの生きている間は……』
かつて恋した人が、『先生』の祖母だと知ったとき、先生は驚いただろう。けれどクラムの胸には、昨夜の話を聞いてから別の気持ちがあった。
哀愁とでも、言うだろうか。
かつて好きだった人と時代や時間が分かたれる。自分だけが違う時間の流れを過ごし、世界を生きていく。
誰しもがある程度の年月そうして過ごすことになるだろうけれど、先生のそれは、ほかとは違う。長い時間と感覚だ。
先生がどう感じているかはわからないし、自分が勝手に思うだけだけれど。
自分なら寂しいだろうな、と思った。
前を歩くグラスバードの、揺れる長い灰の三つ編みを見ていたが、ふいに立ち止まられてその背中にぶつかる。
見上げるとクラムの方を向いていて、だけれどその目は何を考えているかわからない。クラムが首を傾げると、また前を向いて歩き出す。
今度は先生の背中を見てしっかりと歩き出す。細道から出るあたりでやっと先生が口を開く。
「ちょうど向かう方面だし、家を作ってるところでも見て行くかい」
気を紛らわすためだろう。グラスバードはクラムが何を考えているかわかっているようだった。はいと答えて、クラムはあまり向かったことのない方面に向けて、歩いていく先生の横に並んだ。
シーバリの言っていた村の端に着く頃には昼も近くなってきていて、村のみんなほとんどが働き始め、活気が出ていた。家を建てている場所は詳しく聞いていたわけではなかったが、すぐにわかった。若者たちが作業道具を持ってそちらへ向かって行くのだ。ついていけば、村にこんなに若者がいたのかと思うほどだった。みんな集まっているのではないだろうかと思える。
その光景を見て、近くまで行く前に立ち止まった。隣にいる先生の方を見上げる。先生は何にも感じていないかのように、他人事のようにその光景を見ている。あの場所に入って行くことはないだろう。
「もう少し近くで見てくるかい?」
「でも、先生は行かないですよね」
多少興味はあったが、先生のそばを離れる気もない。グラスバードは微かに笑った。
「行ってきていいよ。どのみち目的の場所はあの角の奥だからね。すぐ近くだから、見終わったら戸を叩けばいい。私も先に行って、少し話しておきたいことがあるし」
その最後の言葉が決定打になり、先生とは別行動をすることになった。先生が言った通り角の奥の建物に入って行くのを見送ってから、クラムは現場の方に戻り、影になっている木の幹に寄りかかった。地面に落ちる影の木の葉も風に揺れている。
あの建物の中に、『先生』がいる。
動悸がして、無意識にギュッと胸元の服を掴んだ。これは良くないかもしれない。時間が経つほどに緊張してくるタイプじゃないだろうか。早めに覚悟を決めてあの戸を叩かないと。
そのとき、ちらと目の端にこちらを向いて立ち止まっている靴の先が見えた。顔を上げてそちらを見ると、見覚えのある顔があった。少しだけ話をした、ダスキートの元にいるあの青年だ。他の若者たちと同じように何がしかの道具を持っている。クラムが軽く頭を下げると、青年はこちらに歩いて来た。
「久しぶり」
少し頬がこけただろうか。だが相変わらず優しい声音だ。クラムもお久しぶりですと返す。青年はクラムの隣に立ち、同じ方向から作業に勤しむ若者たちを見る。
「家を建ててるんだ。かなりお金持ちの人の別荘になるらしくて。お金払いが良くて。村の若い子は体力があるし、喜んでやってるんだ」
秘密基地作りみたいで楽しいしね、と青年は笑う。もうあのときのことは気にしていないようだ。クラムもつられて笑う。しかし、青年はふと真剣な顔になって、クラムの後ろの林の方に目を向けた。まるで内緒話をするように。
「……キミ、協会の子、なんだよね」
クラムが問いに頷くと、表情はさらに陰った。
「……ダスキートさんに言われた。協会の子の仕事だから何も思うな、って。でもやっぱり……あんなこと、しないといけないのかな」
クラムの眼差しとぶつかる青年の目は、強いものだった。
「あんなことはやめて、村に住むのはどうかな。みんなキミとおんなじくらいの年齢だけど、まだ村から学校に行ったり、仕事の見習いしたり、そんなふうに過ごしてるよ。優しいし、すぐに仲良くなると思う。ダスキートさんとかなら、住まわせてくれるとも思うし」
一気に言い切った青年は、少し息を切らした様子になった。
「……だから、あんなことやめなよ。まだ子供だし、女の子なのに」
クラムは地面に目を向けて、静かに口元だけで微笑む。
普通な人生を送り、幸せに生き、正しいことを見れる人。少なくとも私は、今の発言で、あなたをそう思う。
「心配してくれてるんですよね。ありがとうございます。その気持ちだけで、嬉しいです」
しっかりとした発音で告げる。青年は何かを言いかけたが、クラムの心からの感謝の笑顔を見たことと、向こうから仲間に呼ばれたことで、クラムを気にかけながらもそちらに去っていった。姿が遠くなり、青年の意識からクラムが消えた頃、木の下で小さく少女の口が動く。
「でも、あなたは私を救えなかった」
誰も聞かない呟きだ。風が木の葉を落としていく。ザワザワと強く吹くそれらに、空を見上げた。大きな雲が一つ通り過ぎようとしている。太陽にかかり、大地は暗くなる。木の下にいるクラムの瞳を見るものはいない。
強く古い怒りの宿る目。
私を救えなかった。
過去の私をあなたは救えなかった。
あの瞬間の私をあなたは救えなかった。
あの横断歩道の前で私の見ていた闇から、あなたは私を救えない。
それだけが、確固たる事実。
そんなものに、何を言われても。
たくさんの、過去の人間の顔が頭にチラついて、クラムは背の後ろで組んだ手のひらに力を入れた。指の骨の軋む音がした。
*
部屋の中なのに、テーブルの上の蝋燭の火が風に揺れた気がした。部屋の窓に開いているものはない。ドアの下の、唯一空気の出入りするであろう部分からの空気の流れには、それほどの力はないだろうと感じる。今この場所にある蝋燭の火は、自分のものではない。
グラスバードは紅茶を淹れている男の後ろ姿を見る。優雅な香りが漂って来て、高級な茶葉だとわかる。思わず眉を歪める。
今回は昨日とは違い、グラスバードが前置きのある客をしており、ザラスは客人を招くかごとくの対応をしている。とは言っても、部屋は締め切られ、さらにそこに勝手にグラスバードがまじないをかけてはいるが。
「まあ、こんなにゆっくりしている場合でも、ないんですがね」
淹れた紅茶の注がれたカップを皿に乗せて、それをテーブルに運んでくる。ちょうど良い濃さで淹れられた紅茶が美しい光沢を持ってカップの中で波打つ。
昨日までのグラスバードなら手すらつけず、飲まなかっただろう。だが夜を超えて、グラスバードの心持ちは少しだけ違う方に向いていた。一生向かうことのなかっただろう方向への変化だとわかっているから、グラスバードは一口だけ手をつけることにした。
紅茶は芳醇な香りを湛えて体の奥に落ちていった。残り香がいつまでも口の中に留まるようだった。すぐに消えても構わないものを。
「クラムは外ですか」
ザラスが窓の方を見る。グラスバードは少し見やってカップをテーブルに戻した。
「すぐそばの、若者たちが家を建てているのを見ているよ」
そうですか、とザラスは視線を部屋に戻す。ちょうど日の反射で外は見えないが、音や声は微かにしている。
「なら、すぐに来るでしょうね。あまり時間はないと言うことだ」
ザラスはカップを持つと、口をつける前に言葉を繋いだ。
「貴方が先にいらしたのは、今夜の件でしょう」
グラスバードは人工の火を見つめている。
「昨晩、灯台へ登った時に海からの風で分かったよ」
ザラスが頷き、紅茶を喉に落とす。
グラスバードにとって、人よりは長い生の中で、三度目の懐かしい海風だった。
「私どもの方でもわかっていることを申しますと、天読みの賢人から連絡があり、大規模で異常な発達の雲気がやって来るとのことでした。今夜が目処だと断定されています」
グラスバードは目を細めた。
「アーバンリキュガルの大奇襲は、ほぼ確実に、今夜起きます」
ザラスのはっきりした言葉に、グラスバードは窓の方を見る。グラスバードからは、陽の反射など関係なく窓の外が見える。外にいるクラムのことも、見ようと思えば。
「どうなさるおつもりですか」
主語はなくても伝わる会話だ。クラムのことを言っている。
「あの子のことは、彼女の判断に任せることにする」
ありきたりではっきりとした委託の言葉に、ザラスは少し眉を顰める。
「あの子にまじないでもかけるおつもりですか」
「私がそんなことをする人間に見えるかい」
「見えます。それにあなたは魔法使いでしょう」
人ではなく、とでも言いたげだ。これまでのグラスバードであればそれも考えていたかもしれないのはわかる。
「今回はしない」
一応のようにそれだけ言うと、ザラスは息をついた。
「……昨日は、どこまでクラムには話されたのです」
グラスバードは、淡々とクラムに話した内容が何かを伝えた。ザラスはテーブルに肘をついて手を組み、口元が隠れるようにしながらそれを聞く。
「では、私から話すことになるのは、大奇襲と命が解かれることだけですね。もしくは戦えないかもしれないことも、場合により増えるかもしれませんが」
「いや、大奇襲のことは伝えないでくれ」
ピクリと紅茶を飲む手が止まった。その角度のまま目だけで正面のグラスバードを見る。
「クラムは気づきますよ」
「だろうね。悪いが、その勘も今回は隠すことはできない。この量ではね」
「私に留めさせるおつもりですか」
グラスバードは否定しない。それが答えだ。
「よろしいのですね」
「……よろしかないが、まあ仕方ない」
「彼女が私を選んだら、このまま連れて帰りますよ」
「そのときは、勝手にするといい」
ザラスはやはり違和感があり、片眉を上げた怪訝な表情を一瞬すると、胸元のポケットへ手をやりカチャリを何かのボタンを押した。そのまま小さな機械を取り出してテーブルに置く。何なのかとグラスバードも目を向ける。
「レコーダーです」
グラスバードは初めて男の前で笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。