第一部

第2話

ピピピ…ピピピ…ピピピ

すっと世界から抱えだされ、水中から抜け出すような感覚。

7時05分。目覚めの時刻。

朝はいつも7時とその5分後に目覚ましをかけて起きる。

朝起きるとき、5分の二度寝はエンドルフィンが分泌されて健康にいいらしい。

そうテレビで聞いて以来、朝は二度目覚ましをかけている。


起きて、顔を洗い母の作った朝ご飯を食べ、着替えて学校に行く。

いつもと変わらない日常。

平日も、休日も。同じ時間に起きて同じ行動をする。決まりきったルーティーン。

小学生の時から変わらない生活。


学校へはいつも歩いて登校している。

高校までは徒歩で15分。少し小高い丘に学校がある。

学校からは綺麗きれいに海が見えるため、偏差値は高いが人気があると有名だ。

自転車よりも歩いた方が楽だから、自転車では通わない。ただそれだ。

僕は家から近くて、通いやすいからここを選んだ。


家から住宅地を抜け、学校へ向かう通学路。

学校がある日は毎日歩いている道。

変わらない道を、いつも通り歩いていた。

でも、今日はいつもと違っていた。


橋の中ほどで、泣いている女子高生がいた。

同じ中学から進学した人だったから、誰だかはすぐにわかった。

陽津ひつ 瀬奈せな

目立つわけでも、目立たないわけでもない。

普通という言葉が似あうような女の子。

そんな子が、川を見つめながら橋の上で泣いていた。


こういう時、見て見ぬふりをしたとしたら後から何を言われるかわからない。

だから、声をかけておこうと思った。

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