教室

絶対、変態じゃね?



「それ怪しいよ!」


「絶対、変態じゃね?」


教室の中に まきたんとリノの声が響き渡る。


2人の声のトーンを下げるように、慌てて人差し指を口元に持っていく。

けど、クラスートの視線が一気に向けられるから困った。



「ちょっ、2人共もっと小さな声で話してよ」


小声で反論すれば、



「その陽斗くんって、見た目ヤバい系なの」


リノが真顔であたしを心配してくる。



「見た目は普通だよ」


陽斗くんは普通の男子高校生だと思う。



「絶対にロリコンだって、さっち気を付けてね」


「どっかに連れ込まれたら、うちらと大人に相談しな」


なんて、まきたんとリノがありえない言葉を続けるから。



「えー、それはないよ」


あたしは苦笑いするしかない。



「今は危ない人が多いってうちのお母さん言ってたよ」


「彼女いた事とかあるんの?いなかったらヤバ過ぎ」


「そんなの知らないよ」


2人の質問攻めに合う中、教室のドアからて先生が入ってきて慌てて席につくことになる。


陽斗くんに彼女ねぇ……。


いるのかな?

いなかったらヤバいなんてリノは言ってたけど。


全然想像つかないなー。

だってあんなだもん。



"さっちゃーん"


なんてヘラヘラとあたしの名前を呼ぶ陽斗くんを思い浮かべれば、自然と口元が緩……



「菅原さん、なに1人で笑っているの?」


教壇から発せられる先生の声が耳に入り、慌てて顔を前を向ける。



「す、すみません!」


「全く、何か楽しいことでも思い出してたのかしら」


先生のため息と同時に、教室内にどっと笑い声が広がる。

リノとまきたんに目を向ければ、2人共大笑いしていた。


無意識のうちにニヤけてた自分が恥ずかしい。

もー、リノとまきたんの馬鹿……。

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