第29話 美食を求めて…ンゴ
ドイン「済まねぇ領主様、俺はギルドマスターを辞める!」
デテド「駄目」
ドイン「ファ◯ク!」
当時A級冒険者パーティ『栄光の英雄』。
リーダーのこの俺ドイン。
サブアタッカー兼タンク、ドワーフのダンバ。
ウィザードのモツナベ。
そしてヒーラーのラーン(デテドの妹でリーンの母)の四人。
様々な冒険の果にまさかのダンバとラランの婚姻。
残された俺とモツナベも2じゃどうにもならないってことですんなり引退。
俺はラランの紹介でオリーブ領のギルドマスターに。
モツナベは王都からお呼びがかかってエリートコース爆進と思いきや、横領を発見して当時のギルドマスターを血祭りに揚げた挙げ句、そのギルドマスターの家の前に逆さずりにしたって聞いた時は拍手して爆笑したぜブラザー!
たまにギュウシー領まで会いに行っていたが、ギュウシー領は治安が悪くてくっせぇところだぜ…。
二人で談笑した後、軽い食事をするんだが…これがまぁ不味いの何のって!モツナベと合う以外は此処に来ることはないと思っていた。
久しぶりにダンバの娘、リーンを見た。
跳ねっ返りのクソガキだったが、4年も経てば立派な冒険者になれるもんだと思ったね。
まぁモツナベの優秀な弟子だったチャンコを紹介した俺のおかげたが、そんな親友の小娘が不思議なノッポを連れてきたのが始まりだった。
名をカンスイドミン、なんか俺に名前が似てて愛着が湧いたのが第一印象。
ヒョロ長で頼りない見た目に反して扱いの難しい異世界の武器『カタナ』を使いこなし、鉄でミスリルを切りやがった。
木の棒で石を砕くような事をしやがっただけじゃなくそいつのスキルで作る料理はこの世の物とは思えぬ絶品ばかり。
俺の冒険者としての感がコイツを逃したら一生後悔すると叫んでる。
もうギルドマスターなんて地位は捨て追いかけるしかねぇ!
幸い俺はギュウシー領までよく行くから地理は頭に入ってる。
一応領主には挨拶と思ったが二つ返事で断られた、ファ◯クッ!!
まぁ、知ったこっちゃないぜ!ここでもしあのどみんとか言うガキと別れちまったらもう焼き餃子も天津飯も食べれねぇし、黄金のようなビールも飲めねぇ…そんなのありえねぇ!
妥協で働いてたギルドマスターだが、羽振りは良かったからな!最低限の荷物金持って一刻も早く出発だ!
リーン「おいおいおっさん!一人でドコ行く気だぜ?」
ミレディ「【気配感知lv4 気配察知】、おねぇさんからはにげられないも〜ん」
チャンコ「ちゃす(どみん青年の居場所を知っていると心得たり!の意)」
ドイン「ちっ!
ミレディ「もぉ〜中年なのに見え張りすぎなんだからぁ〜私たちもうB級冒険者パーティなんですけど〜」
チャンコ「ちゃす(もし付いて来られなかったらミレディは置いてくの意)」
リーン「馬鹿だねぇ、ドインのおっさんはA級冒険者でも伝説のS'級に近いっていう冒険者だぜ?馬車はチャンコと荷物でいっぱいだろうから…吐いた言葉引っ込めるなよミレディ?」
ミレディ「え…なんか、怖いんですけど?」
しばらく歩いていざ門。
どみん共『E級冒険者パーティ 招き猫』を見送って、それとなく領主のデテドと話を合わせていると『銀斧』の連中と合流。
デテド「おや、リーンちゃんじゃないか?ダンバと帰ったんじゃ…!まさかっ!ドイン!貴様ッ!」
ドイン「エクザクトリー!じゃあな〜デテド様よぉ!お世話になったぜ〜。行くぞお前等!!ガハハハ!!」
銀斧「「あいよ(ちゃす)!」」
デテド「待て!私だって、お猫様とランデブーしたいのに!我慢してるのに…覚えておけよドイン・フライデー。今日のことは忘れぬぞ?」
――――――――――――
背中に若干の寒気を感じつつ急ぎでブルラード平原を進む。
とうぜん行く先にワイルドウルフ(1m前後の凶暴なウルフE級)やゴブリン(120cmくらいの緑の奴。定番。E級)やなぜか最近多いオーク(190cmくらいの二足歩行の豚、D級)が襲いかかってくるが…
ドイン「【グラディエーター】コマンド【大剣Lv8 ギガインパクト】」
ズドォオオオオオオン!!
ミレディ「ヒエッ!?あのハゲおじさん強すぎない?一瞬で魔物の群れが弾け飛んだけど?」
チャンコ「ちゃす(当たり前だ!引退したと言え元A級冒険者だぞ!の意)」
リーン「ちぇ、アーシ等の意味ねぇじゃんよ!ちったあ取っといてくれよドインの旦那…」
ドイン「ファ◯ク小娘共!俺ぁ急いでんだ!ビールが俺を……ん?」
前方にオークに囲まれた商家の馬車。
見つけちまったからには助けねぇ訳にはいかねぇか…
チャンコ「ちゃす(旦那、心配ありませんよの意)」
ドイン「なんだ?…お、そうか、あの漆黒のローブは…」
馬車から現れた黒いローブの男を見て安堵した。
あいつなら8匹程度のオークに遅れをとるはずがない。
俺のブラザー、モツナベの一番弟子、チャンコの兄弟子…
フェルト「【ダークネスウィザード】コマンド【闇魔法Lv3 ダークランス】」
地面から漆黒の槍がオーク達を串刺しにする。
魔法の構成速度、命中精度、一流魔道士様になったもんだ。
俺が決闘裁判官に呼んだだけはあるぜ。
ドイン「よぉフェルト!奇遇だな!」
フェルト「ドイン様、お世話様です。弟のダニラドと一緒にギュウシー経由でチーユ領に帰ろうかと…まぁ弟に護衛を任されまして…」
ダニラド「お久しぶりっすドイン様、俺は変な少年が居なかったら会頭に怒られるところでしたよ〜」
ドイン「おめぇは兄貴と違って昔から顔面の感じが悪いからな!ガハハハ!「ひどくねぇっすか?」それよりフェルトよぅ、せっかくならお前の【闇魔法】で高速移動魔法で俺達をギュウシー領まで運んでくれねぇか?金は弾むぜ?」
フェルト「…理由しだいでしょうか?」
ドイン「実はな決闘祭で勝ったノッポのガキがいただろ?あいつを追ってる。あいつの作る料理は異次元の旨さで、お前も唐揚げ食ったなら理解るか?」
フェルト「まさかあの少年が!?ダニラド、お前の商品を買ってくれた少年だ!あの唐揚げ、30個しか食べられなかったに…」
ダニラド「食いすぎだろ兄貴…ともあれあの変な少年がイグルに買った奴だとは…なぁ兄貴受けてやれよ。俺はもう一回あの少年に会いたいぜ!」
フェルト「そうだな…よし、【闇魔法Lv7 ワームホール】で皆さんを運びましょう!」
ドイン「話が早いぜ!早速頼む!」
普段と違って超特急で来たってのにギルドに行ったらもう昨日には着いているらしい。
あいつ等速すぎるだろ!
と思いつつ無事に合流し、事前にギルドのねーちゃんに話を聞くと孤児院をこのギュウシー領に造るって言うじゃねぇか!粋だぜ!
ダニラドの【アイテムボックス】には建築素材もあるみたいだからここでどみんに恩を売っとくのは悪くねぇ!
それに、途中途中で出るまかないが死ぬほどうめぇ!
ここまで追ってきて正解だぜ!
教会のガキどもも日を追うごとに顔色が良くなるし、噂を聞きつけたごろつきを叩きのめすのは楽しいぜ!
それにしてもオリーブ領の冒険者共も続々とこんなギュウシ―領なんかに集まってきやがる。
チッ、聞き耳立ててやがったな…俺もだがな。
そんなこんなでデケェ孤児院が出来ちまったぜ!
かーーー貴族の屋敷みてぇにでけぇぜ!
食堂もあるって言うから楽しみだぜ、ビール!ビール!
…それにしてもオークの数が異常だな…。
ちっとモツナベと話してみるか…。
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