第10話 冒険者になるンゴ
10メートルはあろうか、圧倒的な外壁を前に唖然とする。
見るからに強固な石壁に魔法陣が組み込まれている。
エクストラ伯爵領と比べてはっきりとデカい!そんなオリーブ公爵領に一行が到着。
ローザス「我が故郷、もう一度足を踏むことができるなんて―――どみん!改めてありがとう!」
どみん「ンゴもローザスさんの【鑑定】には助けられたンゴ、お互い様ンゴね!」
ダナン「では早速、僕らの屋敷にぜひいらして―――」
どみん「それには及ばないンゴ。これから『銀斧』の皆さんが証人になってくれるって事で冒険者登録に行くンゴ!」
ローザス・ダナン「…へ?」
リーン「わりぃな。ま、そういう事だからアーシ等は冒険者ギルドに行ってくるわ!適当に王族へのクーデターとかもそれとなく伝えとくからよ!んじゃ、デテト卿にヨロしく〜」
ローザス「まっ―――ちょちょ、このまま別れたら公爵家としての威厳が!?せめて相応のお礼を―――」
リーン「バカタレッ!「(べしっ)あいたっ?」当の本人が嫌がってるだろうが!もう『ネクロパンサー』の主になった時点でアーシ等がどうこう出来る相手じゃねぇ!関係の悪化をすな!あとアーシは極上の料理をまだ食べたいから邪魔をすんな!」
ローザス「ふええ、で、でもぉ…」
ダナン「そんな…ここでお別れなんて…!最後にねこトントン!ねこトントンさせてプリーズ!!」
ミィア「いいにゃ」
ダナン・モブ騎士「「FOOOOOOOOO!!」」
リーン「相変わらずだなこのオリーブ公爵家は…まぁ獣人を迫害するせいで王家に反旗を翻そうって狂った領主の領地だから…」
どみん「うへ?それって…この世界には獣人が居るンゴ!?」
リーン「え、お前もそっち側?まぁカワイイっちゃカワイイけど…それより日が沈む前にギルドに顔出すぞ!」
どみん「ンゴ!」
ミレディ「ねぇねぇ!早くギルドでどみんくんの新作食べさせてよ〜」
チャンコ「ちゃす(催促の意)」
ローザス「へえっ!?(どみんの新作!じゅるり…)」
ミィア「ウチも早く食べたいにゃ!ねこトントンはここまでにゃ!」
ダナン・モブ騎士「「ふぁああ?お猫様〜」」
リーン「(あいつ等、ミィアちゃんを七大災厄の獣王ってさっき話たもんな?影魔法でここまで来たしどれほどの脅威か気づいてるよな?かわいいモフモフが関わるとオリーブ領の人間ってネジが飛ぶよな…)」
どみん「じゃあ、お達者で〜ンゴ〜」
ローザス「まま、待って!僕もついてくぞ!ダナン、お父様に伝えにいってきてくれ」
ダナン「姉上、チャンスとあらば押し倒して既成事実を―――」
ローザス「んあーーーー!!(大赤面)」
―――冒険者ギルド・オリーブ支部―――
受付嬢「A級冒険者パーティーの『銀斧』の皆様!よくぞオリーブ支部に、それでご要件は?」
リーン「こいつ(どみん)を『支援冒険者』登録をしてくれ!」
どみん「ンゴ?『支援冒険者』?」
受付嬢「(んご?)こほん、ご説明いたしまします。冒険者には3種類の役割があります。タンク・物理アタッカー・アーチャーなどの『攻撃冒険者』、攻撃・回復・支援の魔法による『魔法冒険者』、斥候、錬金術、ポーターなどの後方支援による『支援冒険者』。ただ、『支援冒険者』は評価されにくく、不人気なのですが…」
リーン「安心しな、今日ここで『D級』ぐらいにはなれるぜこいつw」
受付嬢「左様ですか?英雄の領域であるA級冒険者様にこのようなことを言うのもおかしいですが、初心者のF級・駆け出しのE級・ベテランのD級・エリートのC級・一握りの天才のB級・英雄のA級・人外のS級。例えD級といえどそれ程容易ではないと進言致します」
リーン「ワリィワリィ、別にアーシがA級だから舐めてるわけじゃねーさ。アーシもそれなりに最初は苦労したからよ。でもなそれを踏まえての発言だ、よかったら今この場で証明したいんだが、こいつにスキルを使わせていいかい?」
受付嬢「それは…流石に……」
ドイン「構わねぇよ!そこのチビの言う事聞いてやんな」
受付嬢「ギルドマスター!?」
後ろから2mぐらいの巨大なハゲの大男が出てきたンゴ!
風格も風貌も、まさにギルドマスターって感じだと親友のまっちゃんが居たら言いそうンゴね。
リーン「けッ!相変わらずだなドインの旦那」
ドイン「まったく、生意気な小娘が大口叩くようになったもんだぜ!さてそこの小僧、俺はこのギルドマスターの『ドイン・フライデー』だよろしくな。で?A級推薦の小僧は何が出来るんだ?」
どみん「え、えっと…料理ンゴ…」
ドイン「なんでぇ料理スキルかよ!大人しく何処ぞのレストランで働かせてもらえ!いいか小僧、別に俺はお前が嫌いで言ってるわけじゃないんだぜ?ただな、冒険者ってのは命がけよ。護衛クエストは盗賊を殺さなきゃいけないときもある、ダンジョン攻略は凶悪なモンスターに命を落とす奴もいる。悪いこたぁ言わん。冒険者はやめとけ(肩ポン)」
どみん「ンゴぉ……(萎縮)」
リーン「おいおっさん!そういうのはこいつのスキル見てから言いな」
チャンコ「ちゃす(同意の意)」
ドイン「ほぉ…チャンコがそこまで唸るなら期待できるな」
ミレディ「え〜チャンコちゃんとも知り合いなの〜?」
ドイン「チャンコを小娘に紹介したのは俺だからな。ま、俺はチャンコ同様食事にはうるさくてね。せめて納得できだけの飯が出せたら冒険者ライセンスを発行してやる!」
リーン「ほらっどみん、見せてやんな」
どみん「ンゴよ!【屋台召喚Lv2】」
ドボボン!
謎の煙の中からいつもの屋台…じゃ無いンゴ!?
ちょっとおっきくなってる…あ、トイレがついてる。
ドイン「まてまてまて!なんじゃこりゃあ!?キッチン…か?―――ってこの見えない壁みたいなやつ結界か!?セーフティーゾーンかよ…!まさか、どこでも出せるわけじゃねぇよな?」
ミレディ「どこでもイケるみたいよ〜」
ドイン「ファ◯ク!なんじゃその馬鹿げたスキル?それだけでC級くれてやってもあまりあるじゃねーか!」
チャンコ「ちゃす(驚くには早いぞぐふふの意)」
ドイン「おい、なんか薄いパンの皮みたいなのに肉…いや、野菜を混ぜてるな?ソレを包み始めたぞ」
生地皮で既に混ぜ合わせてあるあんを包んだら中華鍋に綺麗に並べて、
どみん「チャンコさん!」
チャンコ「ちゃす!(【ファイアーボール(中)】の意)」
ジュワァァアア!
ドイン「おっ?なんだこの香ばしい匂い…!!おいっ至急エールを用意しろ!酒が必要な気がする…」
チャンコ「ちゃす!(こっちにもの意)」
ミレディ「ん〜いい匂い〜」
モブ冒険者「オイオイ!こっちにも!」
モブ冒険者「こりゃ香辛料つかってるぞ!」
モブ冒険者「まさか胡麻油!?幻の食材の!オイ!俺にもくれ!」
よーし、いい感じ。
仕上げにごま油回して〜
どみん「出来たンゴ!『冠水焼餃子』!」
「「おお〜」」
辺りから歓声が漏れる。
いち早く屋台カウンターの真ん中に座るギルドマスターのドインさん。
ドイン「まずは俺からだ…ゴクッ!」
どみん「あっこのタレに付けて食べると美味しいンゴよ〜」
ドイン「おう!さっさとよこせや!さてさて…はぐつ―――!!?おっおーーー!!ゴクゴクゴクゴク!!ファーー◯クッッ!!!!」
一口食べて、ハゲの大男が奇声を上げて立ち上がるとンゴは喉から心臓が飛び出るかと思うほどビビった。
ドイン「おい…このレベルが…まさか、まさかだけどダンジョンで食えるのか?」
どみん「ンゴ、試さないとなんとも…」
ドイン「ファ◯キン!お前、どみんとか言ったな?ランクは『B』だ!!」
「「ええ!!?」」
受付嬢「ギルドマスター?前代未聞ですよ!暴挙です暴挙!いきなりBなんて他の新人達に―――」
ドイン「食ってみろ!話はそれからだ!」
受付嬢「えっと…ばく。……ぶぇ!?なっ―――これっ、凄まじく美味しいんですけど!?パリッとモチッとした皮から肉汁が洪水の様に溢れてきます!しかもこの味!たっぷりのにんにくとあのミスリルと同等の価値である胡椒をふんだんに使ってます!―――ってこれとんでもなくお高いんでしょう?」
どみん「(5個入、ンゴのお店では400円だったけど思い切って―――)銀貨1枚(1000円)ンゴ!!」
「「安っす!!」」
モブ冒険者「おいにーちゃん!俺にもくれ」
モブ冒険者「アタイにも!早くして!」
チャンコ「ちゃす!(こっちにもの意)」
モブ冒険者「あ゛あ゛〜早くくれ〜」
ドイン「かぁ〜!!酒に合うぜぇ〜!」
ミレディ「はふっ、はふっ、熱々うまうま」
リーン「エールとの相性がたまらねぇぜ!」
ローザス「(凄く美味しいけど、量がちょっとすくないなぁ)」
ドイン「オイてめぇ等!こいつはスキルの力でこのレベルの料理を銀貨1枚で提供できるってよ!とうだ!B級支援冒険者資格に文句ある奴は居るか!?」
「「異議なし!」」
ドイン「って訳だ。坊主、お前はこのドイン・フライデー推薦でいきなりB級だ。お前は既に一握りの冒険者だ。どんなクエストも受けられるぞ、ただし、1年活動がない場合は冒険者ライセンス剥奪だ!いいな?」
どみん「ンゴ?」
なんか、なーなーでB級って言われても凄いんだかよく解からないンゴね。
でもまぁ冒険者ライセンスは手に入ったし、これがあればダンジョンに入ったり、冒険者パーティーを組んだり出来るらしい。
せっかく異世界に来たんだから楽しむンゴ〜!
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