異世界町中華忍帳
ハイドロネギ
第1話 テンプレ、巻き込まれ召喚ンゴ
れいな「みんなー!準備はいい?」
「「「イエェーー!!!!」」」
『まじかる腹ペロプリンセス ミィア』の主人公ミィアたん役の声優・
本来はンゴこと
まっちゃん「ドミン氏!れいな様が輝いていらっしゃる!来てよかったでござるな!」
どみん「ンゴね〜」
ンゴはアニメが好きであって、現物3次元女のババア(中学生以上)に好意を寄せられるほど感性が腐ってはいないのだが、声優オタクで親友のまっちゃんに合わせている。
まぁ喋ればロリロリツインテールで最強!ンゴの超シコアイドル『ミィア』たんの天使の様な声だから多少は目を瞑ろう。
そんなこんなでイベントも終わり、すっかり辺りが暗くなって近くのファミレスに寄ることにした。
「「かんぱ〜い!(ジュース)」」
幼馴染の親友まっちゃんとのファミレスの寄り道はイベント後の恒例でありイベント個人的に楽しみな行事となっていた。
まっちゃん「それにしてもどみん氏はこのまま学校には通わず、おじいさんの店を継ぐでござるか?」
どみん「そのつもりンゴ。ンゴは接客ダメダメだけど、仕込みや調理、最近は食材の買い出しや発注も任せてもらったンゴ」
まっちゃん「そうでござったか。残念でござる。どみん氏と一緒に登校できると楽しみでござったのに…。」
どみん「まっちゃん…」
ンゴは中学の頃、前髪目隠しヒョロのっぽオタクのくせに、ある事件のせいでやんちゃをしてしまい停学、そのまま不登校になってしまった。
どみん「学校には行かないけど、今もイベントに誘ってくれるまっちゃんがいてくれれば寂しくも無いンゴね」
まっちゃん「どみん氏…お礼を言うのはこちらでござるよ!さっ注文するでござる!」
二人でイベントの事やアニメで語り合っているとあっという間に2時間が過ぎてしまった。
2人共まだ未成年なので解散して家に帰る事にする。
気持ちよく安物マウンテンバイクを走らせるそんな帰り道の途中。
どみん「ンゴぉ…」
ため息にちかい言葉がンゴからひりでた。
交通量多い道の歩道をいっぱいに使って3人で笑い合ってこちらに歩いてくる。
いかにもリア充の美男美女の…高校生くらい?
どみん「(ンゴは中学中退の小卒だから、高校生とか青春とか別世界の事象ンゴ)」
美男美女の会話から放たれる「俺達私達キャッキャウフフよく見てぇ!」感が強くて吐きそうンゴ。
ンゴがリア充の横をスルーする…その瞬間だった。
足場が光ったと思った瞬間―――
あたりの風景が一転、何故か大きな室内の広間の中にいる!?
驚いて自転車のバランスを崩し横転したので受け身を取り、そのまま遠心力を利用して体を起きあげ周囲を見渡すと…
どみん「…ん、ンゴ……」
呆然とした。
すっごい壮大な建築物、なんというかすんごいファンタジーな広間にポツンと4人。
ンゴと先程のリア充3人組、THE!和風なでしこJK、褐色ギャル腹筋スポーツJK、最後に財閥貴公子といった感じのイケメンだ…陰キャのンゴは近寄りたくない。
足元にはクソデカ魔法陣と、周囲に横たわるローブの人達と自分のマウンテンバイク、更に奥に大勢の兵士らしき人達と中央の王座には油臭そうなハゲデブと、胸部に脂肪をぶら下げたパツキン女がいて、パツキンの方がなんか喋ってンゴ。
ランラッラ「おお!異世界より参られし世界を救う者たちよ!わたくしはランラッラ・アクシツコレステ。このアクシツコレステ王国の第二王女です」
アクシツコレステですって。
撮影にしてはネーミングセンス疑うンゴね。
ひかる「アタシは黒鉄光(こくてつひかる)って言うんだけどさ、そこの
ひゃっ!褐色ギャル、ガンつけて怖いンゴ〜。
えあ「初めまして、私は逢乃宮重愛(あいのみやえあ)と申します。逢乃宮財閥にご連絡いただければ身柄は保証できますよ」
はやと「僕は重愛さんの許嫁、龍宮院隼人(りゅうぐういんはやと)といいます。僕のことも龍宮院グループへ連絡いただければと」
えあ「あら?私、許嫁の一件はお断りいたしましたわよね?」
はやと「僕達の結婚は僕達の一存で決められることではないよ?」
ボンボッボ「うおっほん!!聞け!異世界の者共よ。世はボンボッボ・アクシツコレステ16世である。諸君は諸悪の根源、強欲の魔王を討伐するために異世界より召喚した者たちである!今ここは貴様らの世界ではない」
おっ、しびれを切らしたハゲデブがしゃしゃり出たンゴね。
それにしても悪趣味な装飾ンゴ…宝石やら何やらで重そうンゴ。
ランラッラ「お父様、交渉は私にお任せいただけるのでは!?」
ボンボッボ「ふん、では早くしろ!!ワシの貴重な時間をこれ以上奪うでない」
ランラッラ「(ちっ―――)寛大なお父様のお心に感謝いたします。では、世界をお救いになられる皆様に……あれ?今回の『勇者召喚』は3人ではなかったかしら?」
周囲がようやくンゴに気づいた。
何かギャルの人がこっち見て大きく見開いてからなにやらぼやいていて怖い…
あ、これは自己紹介しなきゃだめな流れ…陰キャに注目は辛いンゴ!
どみん「えっと…冠水どみん…ンゴ…」
あ〜人前で呂律が回らないンゴねーー!!
ひかる「(やっぱり、どんちゃん!?な、なんでこんなところに?ってか、今だに前髪伸ばしてたかよ〜!)」
えあ「ど、どみん様!どみん様ですのね!!こんなところで会えるなんて―――」
はやと「知り合いなのかい重愛さん」
えあ「あのお方こそ、私が中学生の頃に―――」
ランラッラ「募る話もお有りでしょうが、一度別室にて今回の召喚について、世界の危機についてご説明をさせていただいてもよろしいですか?」
パツキン王女に連れられて客室に案内されたンゴ達。
そこには豪勢な食事とメイドさん達が大勢いた。
全員着席したところで王女の話が始まった。
長話でンゴは眠気に勝てず爆睡したンゴ。
目が覚めた時、隣りにいたイケメン・隼人くんが要約してくれたンゴ。
ー ー ー ー ー ー ー ー
この世界は地球ではなく『オルダ』と呼ばれる異世界であること。
教会から豊穣神『ツイフェ』からの神託によって強欲の魔王というのが世界征服しようとしてるとかの話があったらしい。
やばくね?ということで異世界から勇者と呼ばれる世界を救う者を神託に従って召喚したこと。
異世界から召喚されたものは強力な神の恩恵『スキル』というものが与えられるそうで、一騎当千の力を持っているらしい。
その選ばれし世界を救う者たちこそまさに自分たち異世界の勇者だという。
異世界の勇者は世界を守る使命があり、世界に平和が訪れた時に元の世界に女神が帰してくれるとかなんとか…
ー ー ー ー ー ー ー ー
何だかまっちゃんが言っていた『異世界転生モノ』とか言うのみたいンゴ?でもンゴは小さい女の子が変身して頑張るアニメしか基本見ないンゴ…。
それにしても隼人というイケメンは前髪で目が隠れていかにもな陰キャのンゴが爆睡していたにも関わらず、優しく丁寧に教えてくれる。
顔がいいだけで幼女に何しても許されるイケメンは無条件で死ね!といつも思っているンゴでさえ
そろそろ撮影ではないという実感がわいてきたンゴはとりあえず隼人さんにお礼を言う。
どみん「隼人さん、あ…ありがとうンゴ」
はやと「気にしなくていいよ、僕達は同じ境遇に陥った仲間なんだから(キラッ)。それと、同年代何だからさん付けなんて寂しいじゃないか?どみんも呼び捨てで構わないよ?」
どみん「や…隼人くん、でいいンゴ?」
はやと「呼び捨てでいいのに。それはそれとして、君には言わなきゃならない事があって…さっき話したスキルの事だけどね、ソレを調べるための鑑定の儀とかいうのを君が寝ている間に行われたんだ。僕は【勇者】、重愛は【聖女】、光さんは【拳聖】という珍しくて強そうなスキルだった」
どみん「ンゴ〜、凄そう。…そういえば、女の人2人はどしたンゴ?」
はやと「先にお風呂に行ったみたいだよ。それより君のスキルの事なんだけど、【町中華】…らしい?」
どみん「【町中華】!?ばっちりンゴね!じいちゃんの手伝いしてたから料理には自信あるンゴよ〜」
はやと「僕も中華料理は好きだけど…鑑定をした人が訝しむ表情で「外れスキルだ」って呟いてたんだ。なにか嫌な感じだった…もし何かあったら遠慮なく相談してほしい」
隼人くんの要約が終わるってしばらくすると、ドタドタと兵士の人が客室に入ってきて、2人共に別の個室へ連れてかれる流れになった。
しかし―――
兵士「ここからは別の個室に案内します、どみんどのはそちらの兵士と共に移動してください」
はやと「じゃあ、またねどみん!(白い歯とウインク)」
どみん「バイバインゴ〜…」
本物の御曹司…すごい、と呆然と隼人さんを見送った瞬間―――
「「ガシッ!!」」
両側の兵士に掴まれ、「ギョッ」と驚くンゴの情緒を置き去りにして強引に何処かへ連れ込まれていく?
兵士「モタモタするなっ!!」
怒号にビクつきながら渋々連れて行かれる。
古い螺旋階段を降りた先には鉄格子の牢獄があり…… そのままぶち込まれた。
ガシャーン!!
兵士「はっ!外れ勇者め!よく聞け!お前は1週間後ギロチンだ!」
兵士「運がなかったな!せめてレアスキルであったなら死なずにすんだものをーーー」
「「がはははははは」」
鉄格子の外からゲラゲラ笑う兵士たちが螺旋階段をのぼっていく。
突然の事に理解が追いつかず呆然となった。
しばらくして気づく…
どみん「あっ―――」
冠水どみん17歳、異世界召喚初日で牢獄にぶち込めれました。
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