0x5 真相と新たな疑問
辺りには瞬く間に催涙ガスが充満し、意識が朦朧とする中、透華は遂に倒れ伏した。
「くっ……」
朦朧とする意識の中、誰かが近づいてくる気配がする。
「……誰?」
辛うじて呟いた声は、ガスで掠れていた。
覆面をつけた男が近づき、透華の口にガムテープを貼った。
「んっ! んーっ!」
しかし、抵抗するも、手足は痺れて動かない。男は手慣れた手つきで透華の手足をロープで縛り上げていく。
するとその時、
体育館の入り口から男の声が響いた。
「だれだよ……お前!!?」
男の大声に、覆面の男は慌てたように動きを止めた。
「チッ……」
男は舌打ちをすると、そのまま逃げるように体育館から出て行った。
声の主がこちらに近づいてくる。
「大丈夫か!?」
透華の口に貼られたガムテープが剥がされ、縄が解かれていく。
「……朔?」
そう呟こうとしたが、上手く声が出ない。
「違う、俺は草日両だ」
そういった彼は、日向のクラスメートだった。
「草日君……?」
透華はゆっくりと体を起こした。
「催涙ガスが充満してたんだ。
お前ら、ここで一体何を…」
両は不思議そうに辺りを見回した。
透華は、凛と朔がまだ意識を失っていることに気づき、二人を起こした。
「凛、朔、大丈夫?」
「ん……透華……? 何が起こったの?」
凛はまだぼんやりとしているようだ。
「とにかく、ここから出ようぜ」
朔が二人を支えながら立ち上がった。
体育館から出ると、両が心配そうに三人を見た。
「お前ら、一体何があったんだ?
さっきの覆面の男は……?」
透華は、体育館で起こった一連の出来事を思い返していた。
そして、ある結論に至る。
・両が見た覆面の男……。
・過去の紛失物リストには、私のロッカーの鍵も含まれていた。
・そして、今回のボールの紛失。
二日前に無くなって、今回発見できたことの謎。
・事前に担任の月水先生から聞いていた情報。
体育館の掃除は今週は休みで、全校生徒が集まる行事も綺麗に延期されていること……。
透華の頭の中でこれら全てのピースが繋がった。
「……やっぱり、そうだったのね」
透華は呟いた。
「何か解かったのか、透華?」
朔が尋ねる。
「ええ。
この状況で、わざわざステージ上の段幕に隠されたボールに気が付くことができる生徒は一人しかいない」
「一人……?」
凛が不思議そうに首を傾げる。
「そう。
犯人が爆弾のターゲットにしていた人物」
透華は確信を持って言った。
「それは、私以外に考えられない」
「透華が……!?」
朔は驚いたように透華を見た。
「この学校には、私の能力を危惧して命を狙う、もしくは能力目当てに身柄を拘束しようとする謎の組織が存在する」
透華は、静かに、しかし力強く言った。
その表情は、これまで見せたことのないほど険しいものだった。
そして、透華は犯人が慌てて落として行った忘れ物に気づく。
「あれは……」
それは、心象高校の先生達がみんな持っているある持ち物に似ていた。
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