ちょっと寄り道しようか
まじまていち
第1話 同居から告白①
登場人物
大鳥みち…新人小説家、22歳。大学卒業後上京した先で成田鳴に再会し2人で同居をはじめる
成田鳴…新人漫画家、22歳。みちとは高校の頃からの友人。同じく大学卒業後、上京。
「わぁ〜〜!!!!改めて、でっかいねぇ」
東京、千代田区に建つ奇抜な一軒家を前にし
大鳥みちと、成田鳴は2人でしばし立ち尽したのち、家の中へ入る。
「にしても良かったね。こんな大きなお家シェアハウスさせて貰えて…家賃も破格だし」
鳴が綺麗に整頓されたスーツケースから、荷物を取り出して行く。
「大家さんはちょっと変わった人だったけど…めっちゃラッキーだったね」
大鳥は大の字になって伸びをしながら、床に寝っ転がった。
「ここが今日から、私の…私たちの家かぁ」
2人で談笑しつつ、荷解きを進めて行く。この家は家具家電付きだったので比較的ゆったりとした引越し作業だ。
「あ、そうだ鳴。言うの忘れてたんだけど、私明日16時から打ち合わせで家空けるけど平気?」
「うん、全然大丈夫!ご飯作って待ってるね」
「うわぁ、ありがとう。鳴って普段から料理するの?」
「めっちゃ好きだよ〜。大鳥はー…」
鳴は大鳥のくちゃくちゃのスーツケースを一瞥して言い放つ。
「…わかった、料理は任せて」
「…そ、掃除は得意だから…!!」
コトン、荷解きを終え、テーブルに2つのマグカップが置かれる。
「おつかれー」
「おつかれ様。始まったねぇ初日が…」
コク、と水を流すと乾いた喉が潤って気持ちいい。ふと鳴を見やると、にこにこと笑って大鳥のほうを見ていた。
「…ん?どしたの鳴」
大鳥がカップを口につけたままぶっきらぼうに尋ねると鳴は慌てて目を泳がせた
「え…!いや、大鳥、美味しそうに水飲むなぁー!って思って…ははは」
「なんじゃそら、ふつーだし」
大鳥は笑いながら答える。鳴はもじもじとカップの取っ手を弄りながら、ゆっくり喋りだした
「あの…ね、私。大学で大鳥と離れたでしょ、それからずっと大鳥どうしてるかなって思ってて…気になってたの」
「え、そうなの?はは、たまに遊んでたじゃん」
「そうだけどさ…高校の頃は…毎日一緒に居たのに。いきなり京都と石川だもん…私本当は大鳥と同じ…京都の大学目指してたんだよ?」
「え、あぁ〜そうだっけ」
大鳥は高校時代を思い出そうと上を向く。
第一志望に落ちたと言って、大鳥の前で泣きじゃくっていた鳴を思い出して、可愛くって少し笑ってしまった。
「…だから東京で物件探してる時…たまたま大鳥に再会できて、トントン拍子でシェアハウスなんてさ…嬉しくって夢みたいだよ…なんか」
鳴の瞳はさっきよりずいぶん潤んでいて、長いまつ毛の先に、瞳の光が届きそうだ。
大鳥は鳴を真っ直ぐ見つめてニコッと笑いかける。
「ま、これからはずっと一緒じゃん。よろしくね、鳴!」
「…うん、よろしく。大鳥」
夕食は2人で近くの回転寿司で済ませた。
大鳥は夕食から帰宅するなり湯船にお湯をはり、風呂に入った。
ドタドタドタ 廊下を走る音が響く。
「鳴ーーーー!!!やっぱ風呂もでっかい!最高‼︎一緒に入れそう!」
「いっ、、ハァ!!!?」
鳴は真っ赤になりながら持っていた数冊の本をドサドサと床に落とした。
同居1日目の夜が、更けていく。
つづく
pixivにイラストありますのでご興味ございましたら是非見にきてください😊
https://www.pixiv.net/artworks/115240908
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