第3話

「…………ただいま」





静かにドアを開けて寝室に入ると、すやすやと眠っている彼が視界に入った。




これだけ寝れば、明日には熱が下がるかな………




疲れたしシャワーは明日浴びよう、と彼のかぶっている掛け布団に潜り込む。






「んん………」



「えっ!おこした?」



「ううん………ねて……る、よ?………」



「なに?寝ぼけてんの?かわいー。」



「………」



「ほんとあかちゃんみたい。」



「………」



「かわいーねきみは、もう18さいになったのにね………」



「………」



「………………ねぇ雷くん、君はいったいぜんたいなにをおそれているんだい?」



「………」



「こんなに君のことを想ってるかわいい彼女がいるし………」



「………」



「夜様はいつも君と仲良く遊んでくれてるし………」



「………」



「慕ってくれる後輩くん……生田くんとか?いっぱいいるし………」



「………」



「仲良くしてくれるかわいい女の子までいんじゃん、鞠とか………」






アッシュブラウンの毛髪を手に取り、くるくるしながら彼に話しかける。




安らかな寝顔を眺めていると、不思議と視界が揺れてくる。






「……………ふふ………君だけじゃなくて私も泣き虫だったわ………」



「………」






君といるのが辛くて泣いてるわけじゃないよ、ただ………




ちょっと気が緩んだだけ。

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