第34話 どこでこんなテクニックを覚えてきたんだ

 さあ、午後からは何をするか、この町は歴史があるので、観光スポットが豊富にある。

 旧市街地の街並み、凱旋広場がいせんひろばと時計塔、半月橋にラメンサ大聖堂など、まだまだてんこ盛りだ。


 だけど、俺はどれにも興味がないな、〈いろは〉とのデートでいくつか行ったことはあるが、全く覚えていない。

 用意したシナリオ通りに、デートをこなすのが精一杯だったんだ、女に慣れていない昔の俺は、余裕ってものが少しもなかったんだ。


 だけど今は時間の余裕がありすぎるぞ、ようはヒマってことになる。

 目的もなくブラブラ歩いていたら、〈ロクデ〉のことを思い出した、荷馬車を引くロバを見たからだ。


 旅館に預けたままだな、そう思うと気になってくるな。


 旅館へ帰り受付の人に聞いてみると、〈ロクデ〉は旅館のうまやで干し草をモグモグ食べていた、コイツはマイペースが板についてやがる。

 心配した俺がバカみたいじゃん。


 まあ、良いか、そのまま〈いろは〉に部屋に戻った俺は、窓の外を見ながらぼーっと座っていたと思う。

 たまには、ぼーっとするのも良い、だけどこれじゃ〈ロクデ〉と変わらないな、こんなんで良いのか。


 夕方になって〈いろは〉が帰ってきた、昼間はたっぷり休養をとったから、夜はたっぷり頑張らせていただこう。


 夕食をレストランで食べたあと、〈いろは〉が俺に苦情を言ってきた。


 「あなた、若い子にお菓子を差し入れしたらしいわね。 どういうつもりなの? 」


 「えっ、俺は伝言のお礼に、〈イサ〉っていう人にあげただけだよ。 あれ、〈イサ〉ってそうは見えないけど、すごく若いんだ」


 「〈イサ〉よりは私の方が若いわよ。 でも若い子に、旦那さんにお礼を言っておいてと言われたのよ」


 「あぁ、そう言う事か。 17個あげたから、〈イサ〉がみんなに配ったんだよ。 そうしなければならない、強力な圧をかけられていたな」


 「へぇー、17個もね。 私の分は? 」


 「えっ、夕食を食べたばかりじゃないか」


 「ふん、〈クシュニーク〉は私の好物って知っているでしょう。 甘いのは別腹なんだよ」


 良く理解出来ないな、嫁なのに。

 〈クシュニーク〉なんていつでも買えるだろう。


 だが、こう返事をしてはいけない学習は出来ている、甘くはない苦い経験から学んでいるんだ。

 詳細は悲しくなるので、割愛かつあいします、愛が分割しそうになったとだけ言っておこう。


 「そうだ、〈いずみ〉から黒糖をもらったんだ。 農場で作ったらしいよ。 ほしい? 」


 〈いずみ〉は〈いろは〉に渡してくれと言っていたが、俺がもらったことにしておこう、最後は〈いろは〉に渡るのだから、何も問題はない。


 「おぉー、もう黒糖が作れるんだ。 ほしいよ。 すごくほしいな。 全部ちょうだい」


 目をパチパチさせて欲しいオーラが全開だ、黒糖がそんなに良い物なのか、せんな。


 「ふふっ、麗しい奥さんにおねだりされたら、俺はイチコロだよ。 全部あげちゃう」


 何が〈あげちゃう〉だ、自分ながら情けない、びをウリフリだな。


 「へへっ、嬉しいな。 黒糖で何か作ってあげようか? 」


 「んー、〈いろは〉が作るものなら、何でも良いよ」


 甘いものがそんなに好きじゃ無いって、知っているよな。


 「あなたは甘いものが好きじゃ無かったか。 作り甲斐の無い人ね。 黒糖クルミを作ってあげるから、食べてみなさいよ。 病みつきになってしまうわよ」


 黒糖クルミか、クルミだけで良いです、太ってもしらないぞ。


 「分かった、楽しみにしているよ。 ん……楽しみと言えば、一緒にお風呂に入らないか、時間の節約にもなるし」


 「ふぅん、あなたの考えている事なんか、顔を見れば一発よ。 私に、いやらしい事をするんでしょう? 」


 「えぇっと、その、愛を深め合うってことかな」


 「ふふん、どうしよかっな。 代わりに、私のお願いも聞き入れてくれるのなら、良いわよ」


 「おー、何でも聞く聞く聞くよ」


 入れるのも、もちろんするよ、この宿の浴室はそれが売りだから、かなり広いんだ。


 「うふふ、でもね、 私が本気で嫌がることはしないでよ。 そこは、あなたを信じているからね」


 〈いろは〉が服をシュルリと脱いでいく、俺の女が目の前で裸になっていくんだ、ゾクリとしてたまらん光景だ。

 今日は驚きの黒色だ、セクシーじゃないか。


 「おぅ、〈いろは〉、すごく色っぽいよ」


 「もぉ、脱いでいるところをそんなに見ないでよ。 恥かしくなるわ」


 そう言いながらも、じらすように、そろそろりとパンツを下げるんだ。

 これが正しい人妻だよな、すれてしまっているのが、とてもエロいぞ。


 「〈いろは〉は最高の嫁だ」


 「うふふっ、調子が良いわね。 今だけそう思っているのでしょう。 でも言われたら悪い気はしないな」


 半見えのお尻に、今直ぐ、かぶりつきたい。

 はぁはぁ、落ち着くんだ、まずは体の洗いっこをしよう。


 汚れを落としてからじゃないと湯船には入っちゃいけない、ルールを守り、みんなで気持ち良くだ。

 二人切りだから、二人で気持ち良くに訂正だな。


 シャボンの泡をかき混ぜて、両手につければ、白いマジックハンドに早変わりだぜ。

 体の奥から快楽を、魔法のように引き出して、神秘の泉みたいに湧き出させるんだ。


 「うふふっ、私が先に洗ってあげるね」


 おぉっと、嫁に先手をとられてしまったが、またそれも大変良い。


 俺の先っぽを両手で、背中をおっぱいで洗われ、モッチリとした太ももが絡んでくる。

 いきなり核心部分じゃないか、こんなのいけないよ、いきそうでもある。


 うちの嫁はどこでこんなテクニックを覚えてきたんだ、ちょっと心配になってしまう。

 いやらしい事をされているのは、俺の方じゃないか、あそこと主導権が握られてしまった。

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