第3話 みんなの姫様

「キャハ、ヤバくない。姫様が歩いているよ」


 私は一階の自販機の前でギャル三人組にヤジを受ける。サッカー部のマネージャーそうだが、私に対して嫌悪感を持つ生徒も少なくない。


「はーあ?偉い人オーラだしているよ」

「ホント、生意気だ、偉そうに……」


 ワザとだろうが、聞こえるように会話を始める。不味いな、完全に悪ふざけが過ぎている。このままではジュースの一本も買わされる可能性がある。いや、三人組だ、三本は買わされるのが正しいか。この場を急いで去ろう。


「あ、逃げた」

「放置しようよ、姫様だし」


 そして、自販機の前から遠ざかると。改めて姫様と呼ばれるのが嫌になる。


 でも、生徒会公認のみんなの姫様だ。


「うん?神宮寺の姫様、元気が無いな」


 廊下で校長先生が声をかけてくる。ここはみんなの姫様である事に最大限の努力をしよう。


「ありがとう、校長先生、私は元気です」

「確かに何時もの姫様に戻った」


 私は校長先生に挨拶をしてすれ違う。流石、私、校長先生にも愛されているのだ。


 この学園で姫様を続ける事にした。


 あああ、今日はコンビニで甘い物でも買って帰ろう。

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