第3話 秋実の外見に若干の変化
宇座卓彦は鼻息を高く鳴らした。
「今の彼女を捨てて、新しい彼女を作るつもりはないのか。ブスゴミと付き合うなんて、人生を損しているようなもんだ」
ブス=ゴミだと言い切る男。心の中で思うのは勝手だけど、公共の場で堂々というのはNGだ。
肝意道彦が続いた。
「そうだぜ。デブと交際を継続すればするほど、お前の格は下がり続けるぞ。美人と交際するのは幸せ、ブスと交際するのは不幸という格言を知らないのか」
美人と交際すること=幸せになるという固定概念を持っている男。こいつには、秋実の良さを永久的に理解するのはムリ。
幼稚園児クラスの感想をぶちまけた二人に、女性たちからあふれんばかりの殺気が向けられていた。美人、ブスで格を決めるのは、完全なる邪道といえる。
「かわいい女の子たちをナンパしてくるわ」
「俺も、俺もいってくるぜ」
根拠のない自信があるらしく、全身から勝者のオーラを醸し出している。周囲から発せられている空気から、数分後には完膚なきまでに叩きのめされ、背中を丸めている状況が容易に想像がついた。
じゃじゃ虫がいなくなったあと、秋実に朝の挨拶をされた。
「夏生、おはよう・・・・・・」
「秋実、おはよう・・・・・・。ちょっとや・・・・・・」
「瘦せる」という言葉を必死に吞みこんだ。彼女であったとしても、体型に関する話は厳禁である。
勘のいい女性は、何をいおうとしたのかを読み取っていた。
「そうだよ。ダイエットをしているの」
クラスの圧力に負けて、ダイエットを始めてしまったのか。悲しすぎる現実に対して、大きなため息をついてしまっていた。
満足に食べていないのか、顔はやや青みがかっている。今は問題なくても、将来的に災いをもたらすことになるかも。
秋実の体が左右に揺れる。危機を察した男は、すぐに手を差し伸べた。
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