023薬草採取
ヘンデリック侯爵はヘルガと2人だけになると報告を聞くことにした。
「ヘルガ、拓殿が森に出発したが、何か変わった様子は無かったか?」
「2つほど気になる点があります。」
「何だ。」
「拓が購入した食材と器や入れ物です。
食材は店を変えてで少しづつ買っていましたが、大量に購入していました。
初級魔道師が空間魔法で収納できる量を遥かに超えています。
それから、手紙の出し方を確認していました。
ただ、確認するだけで、出さずに終わりました。」
「本人に確認は?」
「いえ、知られないように見ていましたので。」
「ギルドにある魔力測定の魔道具。結果を誤魔化す方法は無いのか?」
「その様な方法は聞いたことが有りません。」
「初級魔道師には収納できないほどの食材。この暑さでは、食材は食べる前に腐ってしまうか。
手紙は、彼を育てた方に手紙を出そうと考えているとか。
拓殿には悪いが、もう少し様子を見ていて貰えるか。」
「分かりました。では、失礼します。」
ヘルガが部屋を出て行くと、ヘンデリック侯爵は大きく息を吐いた。
ただ、初級魔道師だが使える属性魔法の多さや、その熟練度。
薬剤師としての知識や腕前を考えると、拓が普通の少年とは思えない。
拓が辺境に在る自分の領地を選んだ理由を聞いた方が良いかも知れないと考え始めるヘンデリック侯爵だった。
******
「ガラ、ポーションに使う薬草は、先端5cmだけ切り取って。それ以外は、効果が低いから。
それに、先端だけ切り取れば1、2ヶ月でまた採取出来る様になる。」
そういう物だったのか。
昔、ガラがギルドの依頼を受けたときは、根だけ残して草の部分を全て採取していた。
しかし、拓は気楽に話すが、薬剤師としては重要な事ではないだろうか。
「分かった。」
ガラは拓と手分けをして、周囲の薬草採取を始めた。
薬草を町で栽培しようとしても枯れてしまう。
ガラも子供の頃、何度か試したが1週間と持たなかった。
入手するには森に取りに行くしかない。
この森には薬草が豊富で、かなりの量が採れた。
3日もすると薬草採取はガラが一人が行い、拓は大量の料理を作り始めた。
リビングのテントにあるキッチンと魔法を使って色々な料理を作っている。
夜は、ガラも一緒に材料の下ごしらえを行い、拓が昼間に下ごしらえをした材料を使い一気に調理する。
出来上がった料理はそれぞれを容器に入れ、空間魔法で収納。
「素材の鮮度は落ちず、作った料理は出来たての状態を維持できる。
空間魔法は本当に便利だよね。」
拓はそう言うが、ガラとしては劣化しない収納の優位性はそう言う事で良いのか疑問符が頭に浮かぶ。
疑問が残るが、拓が嬉しそうに料理を作るのでそれはそれで良いのだろう。
そして、1日の仕事が終わった後の風呂。
普通は水で体を洗うだけで湯に浸かる事は無い。
テントの中だとは言え風呂は十分に広くガラと拓は一緒に浸かり、拓が魔法で温度調整をする。
ガラは初めて風呂を体験していたが、想像以上に気持ち良い。
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