第8章 魔王城突入前夜、最後の誓い

1. 魔王城へ向かう道


「あと少し……」


 俺たちは、険しい山道を越え、ついに魔王城の目前までたどり着いた。

 黒雲が渦巻き、雷鳴が空を裂く。

 城からは、まるで生き物のように闇が溢れ出していた。


「ここを越えれば、魔王の元に辿り着ける」

 ガイルが剣を握りしめる。


「本当に……これが最後なのね」

 フィリアが城を見上げながら呟いた。


 俺たちは何度も戦い、何度も敗北し、それでもここまで来た。

 勇者はいない。 だけど、俺たちは戦える。


2. 決戦前夜


「今夜はここで休もう」


 魔王城の近くにある古びた遺跡で、俺たちは最後の野営をすることにした。

 焚き火を囲みながら、俺たちはそれぞれの思いを語り始める。


「……不思議ね」

 フィリアが火を見つめながら呟く。


「これが最後の夜だと思うと、ちょっと寂しくなるわね」


「最後じゃない」

 俺は力強く答えた。


「これは、俺たちの新たな始まりだ」


 ガイルが剣を研ぎながら、ニヤリと笑う。


「いいこと言うじゃねぇか。 じゃあ、勝って未来を掴もうぜ」


3. それぞれの誓い


「私は、みんなを絶対に守る」

 ラグナが盾を叩きながら宣言する。


「どんな攻撃が来ようと、俺は立ち続ける」


「私は、最高のサポートをするわ」

 シエラが笑いながらポーションを並べる。


「この旅で調合した薬のすべてを、ここで活かしてみせる」


「私は、派手にぶちかますわよ!」

 フィリアが魔法の炎を指先に灯す。


「勇者がいない分、派手にやらなきゃね!」


「そして、俺は──」

 俺は剣を握りしめ、仲間たちを見渡した。


「この剣で、俺たちの戦い方を証明する」


 俺たちは拳を重ね、最後の誓いを立てた。


4. 魔王城突入へ


「……そろそろ、行こうか」


 夜が明け、空が徐々に白み始める。

 魔王城の門が目の前にそびえ立っていた。


「いよいよね」

 フィリアが微笑む。


「俺たちの戦いを、見せてやろうぜ」

 ガイルが剣を肩に乗せる。


「勝って、生きて帰るぞ」

 ラグナが盾を構える。


「準備はできてるわ」

 シエラがポーションを手に取る。


 俺は深く息を吸い込んだ。

「──行くぞ!」


 俺たちは、魔王城の門を開いた。

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