第6章 敗北と絶望、そして再起
1. 圧倒的な敗北
「くそっ……!」
俺の剣が弾かれ、地面に叩きつけられた。
魔王軍の精鋭たちが、俺たちを圧倒する。
どれだけ剣を振るっても、どれだけ魔法を放っても、敵は減らない。
「お前たちは、勇者なしで勝てるとでも思ったか?」
黒鎧の将が、冷酷に笑う。
俺の視界が揺れる。
仲間たちは必死に戦っているが、俺の中には確かな『敗北』の予感があった。
──これが、勇者のいない戦いの現実なのか……?
「レオン! 立て!」
ガイルの叫びが聞こえたが、俺の身体は動かなかった。
……俺は、ここで終わるのか?
2. 絶望の撤退
「レオン! もう無理だ! 一旦撤退するぞ!」
ラグナが俺の腕を引き、背負い上げる。
「ふざけるな! まだ……!」
「まだ、じゃねぇ! 今やられたら、終わりだ!」
俺は悔しさに拳を握りしめた。
それでも、仲間たちは俺を無理やり戦場から離脱させる。
「魔王軍の奴ら、追ってきてる!」
シエラが叫ぶ。
「こっちよ!」
フィリアが先導し、俺たちは何とか森の奥へと逃げ込んだ。
3. 自分の無力さ
森の中。
俺は、ただ無言で焚き火を見つめていた。
「……あんた、さすがに落ち込みすぎでしょ」
フィリアが、ため息をついて言った。
「負けたんだぞ。俺たちは……勇者がいないってことを証明したようなもんだ」
「違う。証明したのは、あんたが今の戦い方じゃ勝てないってこと でしょ?」
「……」
「そもそも、勇者がいたら勝てたって保証、どこにあるの?」
フィリアの言葉に、俺はハッとした。
「確かに……勇者がいても、負けてたかもしれない」
「そういうこと。 つまり、勝てる方法を探せばいいのよ」
俺は、ゆっくりと顔を上げた。
「……まだ、やれるのか?」
「当然でしょ?」
4. 再起の決意
「レオン」
ガイルが俺の隣に座った。
「お前は、俺と一緒に剣を学んできたんだからな。 簡単に折れるなよ」
「……ガイル」
「俺たちは負けた。 だけど、終わっちゃいないだろ?」
俺はその言葉に、力が湧いてくるのを感じた。
「……ああ、そうだな」
俺はゆっくりと立ち上がる。
「もう一度、戦う方法を考えよう」
仲間たちが微笑んだ。
「よし! じゃあ、新しい戦術を考えるわよ!」
フィリアの声に、俺たちは再び前を向いた。
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