第2話

「なんで、って、、、、友達と待ち合わせだよ。」

咄嗟とっさに嘘が出た。

幼馴染の晴子はるこには、知られたくない思いが嘘になった。

あ、でも約束の彼女が来たら、なんて誤魔化そう!?

ちょっと言葉選びを間違えたかな。


健太郎けんたろう、私も今日は大切なお友達との約束なのよ。」

「どこか場所を変えてくれない!」


「えーーー。無理だよ。そっちこそ変えてよ。」


「私がまだスマホ持っていないの、知ってるでしょ!?

健太郎けんたろうがなんとかしなさいよ!」


「無茶言うなよ。

僕が持っていても、相手が持っていないかも、、、???

相手が持っていないかもって、想像できないの!?」


「そうなんだ。でもね!でもね!、、、なんとかしてよ!」

「もうすぐ来るのよ!健太郎けんたろうジャマ!」


「ジャ!ジャ!、、、邪魔じゃまは、そっちだよ。」


二人で睨み合って、少しの沈黙の後。

「じゃあ、健太郎けんたろうは時計台の表側で、私は裏側にいるから。

何かあっても無視してよね。」


「あ、あぁ、いいよ。それでいい。無視してね。」

あぁ、よりによって晴子はるこに見られることになるのか。

昔からひとこと多い晴子はるこだからな。


『えー!誰この子!健太郎けんたろうのくせに、生意気!』

とか言われそうだな。

向こうの相手が先に来て、どこかへ行ってくれないかな。





待ち合わせの5分前になった。

もう、いつ来てもおかしくないな。

後ろを覗くと、晴子はるこも相変わらずだ。

だが、声を発した。


健太郎けんたろうは、何時待ち合わせ?」


「無視するんじゃなかったの?」


「いいから答えなさいよ!」


背中合わせのまま、会話が始まった。


「10時だよ。」


「誰と待ち合わせ? 私の知ってる人?」


「知ってるかどうか知らない人。」


「えっ、どういう意味?」


「知らなくてもいい人。」


「意地悪ね。あっ、そうか、女の子ね!」


「嬉しそうに言うな!、、、そうだよ。」


「やったね健太郎けんたろう!昨日チョコでももらったの?」


「そうだよ!お!ぉ!」


「なんで怒るのよ。子供ね、恥ずかしいの?」


「ちげーーーよ。

、、、それより、晴子はるこって、誰なんだよ。」


「、、、もう、どーせバレちゃうんだね。

佐名田さなだくんよ。」


「えっ!同じクラスの?」


「そうよ。」


なんだよ、晴子はるこも目黒蓮似のエースかよ。

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