バレンタインの次の日は
ムーゴット
第1話
今年のバレンタインデーの次の日は、土曜日。
きっと、新しく誕生した恋人たちが街を
駅に向かう途中で、すれ違うカップルは、
みな、初々しさに溢れているように見える。
僕は、生まれて初めてチョコをもらって、
添えられた手紙の指示に従い、駅前の時計台に向かう。
小学6年の僕は、クラスの中でも、モテる方ではない。
スポーツは、これと言って得意な種目はないし、
背も平均よりちょっと低い方。
勉強も、できる方でもないし。
クラスで話が合う友達も、
男子にしろ女子にしろ、いないわけではないが、少ないかもね。
そんな僕にも、春が来た!?!?
下駄箱に、ピンクの幾何学模様の包みを見つけた時の高揚感。
確かに、一つ、あるよ!あるよ!!
まあ、下駄箱の上の段の奴には、溢れそうなぐらい詰め込まれているが。
こいつがクラスで一番なのは、誰もが想像していたことなんだよね。
目黒蓮似のイケメンで、リトルリーグのエースだもんな。
かわいいピンクの包みの中には、チョコと手紙が。
手紙には、15日の土曜日、話をしたいと。
そして待ち合わせ場所と時間の指定が。
でも、手紙には差し出し人の名前が無い。
よほどの恥ずかしがり屋さんか、書き忘れたドジっ子か。
いや、違う恐れもある。
僕が
待ちぼうけの僕を、陰から見て笑ってやろう、ということかも。
、、、途中まで来たけど、帰ろうかな。
いや、いや、いや、本物かもしれないじゃないか。
このチャンスを逃したら、一生後悔するぞ!
、、、するのかな?
よし、行こう。
もし本物なら、彼女が可哀想じゃないか。
僕が笑いものになるより、彼女を失望させてはいけない。
まだ見ぬ彼女に、すでに思いを寄せている、気が早い僕。
そう思うと、ちょっと笑えてきた。
よし、行くだけ行こう。
で、彼女は、誰なんだろう?
クラスで、かろうじて思い浮かぶのは、何人かいる。
一緒に図書委員をしている
二学期に席が隣だった
4年の時クラスが一緒だった
近所で幼馴染の
、、、別のクラスもありうるのかな?
待ち合わせの時計台が見えて来た。
15分ほど早く来てしまった。
まあ、遅刻するわけにもいかないから、これでいい。
時計台の下に立つと、ふーーーっと、深い息が出た。
「ちょっと、なんでここにいるの!?」
急に後から声が掛かった。
僕が到着した時、時計台の裏側に、後ろ姿が見えた人の声。
聞き覚えのある声は、同じクラスで幼馴染の
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