第22話 ヴィオバレる

 今日のネージュは、ヴィオとおままごとをしていた。ネージュが父親でヴィオが子どもだ。ヴィオはネージュが父親の役をやるたびに、ブリュイヤールがどんな風にネージュと接しているのか微笑ましいような唸りたいような気がしていた。。


「ネージュさまー、雨がふりそうなので中に入ってください」


 セッティが庭にでて呼んでいる声が聞こえる。


「さてと俺は、帰るよ」

「もっといちゃだめ? ねー、ヴィオ」

「俺を見たら屋敷の人がびっくりするからやめた方がいいと思うよ」


 ヴィオは、周りに決してバレないように毎回切り上げていた。秘密の友人だから見つかったらいけないとわかっていても、ネージュはヴィオと話をして遊びたかった。


「だってヴィオとちょっと遊んだらしばらく遊べないのつまんない」

「ネージュが困ることになるからごめんね」

「いーや!」


 ネージュは、服の裾を掴んで離さない。ヴィオは、掴む手を複雑そうに見ていた。


「やだー!」

「お嬢様!? っと、あなたはなぜここにいらっしゃるのですか」


 セッティがヴィオを見て目を見開いた。しかしすぐに落ち着かせ表情を隠す。


「最初は、突然引きこもったネージュ嬢を様子見に来たのだが友人にしてもらった。本来なら正式に話を通し見舞いの品を贈るべきだったのだろうが。まぁ……うん」

「誰にも見つかってはいけなかったというのになんでよりによってあなた様がいらっしゃるのでしょう。他国なんて論外です」

「半分この国の人間みたいなものだろう」

「血筋はそうですが、他国の王ならば話は別です。ノーブル国王陛下。ノーブル国と密会していたとなればお嬢様の立場が危ぶまれます」


 ヴィオは、隣国のノーブル国の王だった。

 ネージュとは、王子と一緒にこの国を訪れたヴィオを出迎えた時に知り合っている。ラベンダーの贈り物を持っていった侍女は、セッティでだったため面識があった。


「親戚関係にあるといっても母は亡くなっているしな。仕方あるまい。お互い良い隣人でいようと日々努力しているつもりなんだがな」


 ヴィオの母は、この国の姫であった。シュバルファン王子とは従兄弟同士にあたる。


「ヴィオ痛い?」

「大丈夫だよ」


 ヴィオが笑って答えるとネージュの頭を撫でる。くすぐったいのかネージュは、ヴィオの手から逃げてしまった。


「ノーブル国王陛下は、今でもヴィオ様ですのね」

「ネージュがつけてくれた愛称だから大事にしている。でも昔も今も同じ愛称をくれるとは思わなかった。俺を忘れず覚えてくれているようで嬉しかった」

「ヴィオも大きいネージュとお友達だったの? ネージュ、ヴィオのこと忘れてごめんね」


 記憶喪失になってから時間が経ちネージュも自分が何かを忘れているようだと理解してきていた。


「ネージュのせいじゃない。もっと俺が手をさしのべればよかったんだ。そうすればネージュが、こんなに苦しまなくて済んだと思う。でも君は、いらないっていうんだろうな」

「ネージュ、ヴィオが手くれたらつなぐよ?」


 ネージュの目は、ヴィオをまっすぐ見ている。今のネージュが何を考えているのか本当のところわからないが、前よりもヴィオを見てくれているのが嬉しかった。


「そうか、なら困ったことがあったら俺を呼ぶといい。絶対助ける」

「うん!」


 ネージュが元気よく返事をするとついに空から雨粒が降ってきた。


「お嬢様中に入りますよ。ノーブル陛下も濡れますからお入りください」

「いいのか」

「あなたが体調を崩したらお嬢様が悲しみますから仕方なくです。お連れの方がくるまでおくつろぎください」

「世話になる」


 それからヴィオは、雨が続き帰って来ない主人を従者が迎えにくるまで、オパール公爵邸に滞在した。

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