第20話 ローズ不審に思う

「どうしよう、フィナーレは年末なのに遅々としてグラソンが攻略出来ない!」


 年末まであと3ヶ月あるがグラソンが落ちた感じがしない。


「なんでうまくいかないの。ネージュが私を虐めなきゃ話にならないし。テンプレの失敗ヒロインの敗因は、悪役令嬢が虐めたということをでっち上げたこと。だから嘘は絶対だめ」


 ローズは、ネージュに苛められたとされているが苛めるに入れていいようなことをされていない。

 ネージュがローズに対してしたのは、貴族の令嬢としての礼節やそれを鑑みての他人の話だ。前世のお局が若い社員に礼儀と仕事を教えているような感覚に近い。

 だから苛められたというと語弊があるがシュバルファン殿下の寵愛を盗られたネージュが悋気を起こしたという噂が流れている。


「主人公補正というものなのかしら」


 ローズが学園に入学するまでネージュは、王太子殿下に相応しい令嬢として広まっていた。

 それにも関わらず悪役ネージュの悪い噂があっという間に広がり頼りの王太子殿下は、ローズを構い倒しネージュを無視し続けた。


「そう考えると王子だいぶひどいわね」


 しかし好きなタイプのイケメンが四六時中愛を囁いてきて、落ちないなんてことがあるだろうか。手が届くなら伸ばしたいと思う。


「それにしても人の噂も七十五日っていうのに噂って案外消えないのよね。どこかしらで聞くし」


 最初こそネージュが体調を崩したと心配する声も聞こえたが、最近は王族のお気に入りに手を出し怒りを買ったため領地へ謹慎されたという噂が多い。

 三ヶ月経過したのに王都へ戻らないのが証拠だというのも聞いている。


「噂は尾ひれつくけど王妃候補が長く領地療養するのに王族から何もないのって普通なのかな?」


 王妃として政務を行えないならばネージュを婚約破棄し別の候補者をたてる話があってもいい。

 王族の誕生日などのビッグイベントは、今年中にはなく新年に国王の誕生祭がありそれから五月の間に集中している。そのためこの時期の貴族は、領地持ち以外暇であり噂が流れやすい時期だった。世間が平和だとゴシップ誌が元気になるのと一緒だ。


「リッド先生なら何か知ってるかな。本当は、グラソンの方がいいんだけど……。って違うな、グラソンをどうやって落とすか考えなきゃ」


 そしてローズは、何回も考えて脱線し夜が更けていく。頭上に栗色の頭のネズミがいることを知ることがなかった。

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