第26話 街で魔法少女を語る
「……ミラカなんか嫌いです。何度も待ってと言ったのに……」
涙目&ふくれ面なリルの言葉に即死した私でした。ぐはっ。
まぁ吸血鬼なので死にませんけど。死ぬほどの精神ダメージを負ったのは事実です。
「……ごめんなさい。もうしません」
平謝りしつつリルの頭を撫でると機嫌を直してくれました。
まぁリルの『嫌いです』発言には致命傷を負いましたけど、涙目&ふくれ面のリルはものすっごく可愛かったのでセーフです。
『いやアウトなのにゃ。自覚ありのヘンタイとかどうしようもないのにゃ。すぐに騎士団を呼ぶべきなのにゃ』
王都では犯罪者の取り締まりも騎士団の仕事なのです。正確に言えば第三騎士団という専門の軍警察組織があります。
地方では自警団が中心ですけどね。
ふ、しかし甘いですね。王家直属の騎士団が、王女である私を捕まえられるわけないでしょう! つまり! 私はセクハラし放題なのです!
……いやおかしいです。なんでセクハラ前提なのでしょう私? 私ってそっちの趣味はないはずですよね? ……うん平気。うん大丈夫。ちょっとだけ可愛い子が好きなだけで、ちょっとだけ可愛い子の泣き顔が好きなだけのノーマル・ピープルですから。私は百合じゃない。
『色々と手遅れなのにゃ……』
アヤネにはとりあえずデコピン。したあとに私はリルに向き直りました。
「そういえば、ずいぶん驚いていましたけど魔法少女って飛べるものじゃないんですか?」
「ミラカの魔法少女知識は色々間違っていると思います。人は飛べないんですよ?」
魔法少女本人に真顔で夢を壊されてしまいました。なんてこったい。魔法少女って最終決戦で羽を生やしたり無駄にカラフルな光の帯を残しながらビュンビュン飛ぶものじゃなかったのですか……。
『ミラカ様は魔法少女に夢を見過ぎなのだにゃ。魔法少女はホウキを使って空を飛ぶべきなのだにゃ。それこそが正しき魔法少女の姿なのにゃ』
なんとも古いテンプレートを提示されてしまいました。あ~でも魔法つかいなプリ○ュアはホウキで飛ぶんでしたっけ?
『最近は肉弾戦ばかりやっているけれど、やはり魔法少女は夢と勇気と希望を振りまく存在じゃなきゃいけないのにゃ。そんなの時代遅れだと笑われても譲れないのにゃ』
血と脳漿と内臓を振りまく魔法少女・リルの存在を完全否定ですね。本人目の前にいるのに。
『リルはアレにゃ。テンプレを前提とする奇をてらった系魔法少女。あれはあれで面白いけどやっぱり邪道なのにゃ』
なにやら魔法少女に一家言ありそうなアヤネでした。
……ちなみに、アヤネから見た私ってどうなんです? 一応ラスボスですけど、ラスボスにも色々いますよね?
『ミラカ様はアレにゃ。劇場版でオールスターズな魔法少女が世界中のみんなの力を集めた一撃でやっと倒せる系のボス。幼い少女たちにボコボコにされるがいいのにゃ』
最後の一言はぞんざいに扱っていることに対する恨み言でしょうか?
『自覚があるなら直して欲しいのにゃ……』
遠い目をするアヤネでした。
そもそも人類滅ぼせとか要求してくる魔物(?)を殺さない時点でだいぶ優しい対応だと思うのですけれどね。
あとアヤネのイメージする
あぁでも寿命がない吸血鬼(しかも始祖)のくせに転生の準備をするほどのチキンハートらしいですからね原作の私。表に立っての世界征服なんて無理な話ですか。
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