勇者を召喚したら『魔法少女』だった件。

九條葉月@書籍発売中!

第1話 悪役、気づく


 この世界において『王女』という肩書きを持つ女性はそれなりにいるでしょうが、転生王女というのは珍しいのではないでしょうか?


 そう、私ことミラカ・デーリッツは転生者。いわゆる“前世持ち”です。


 前世の私は60連勤を完遂した直後に固い地面とキスして死亡しました。それなりに鍛えていたつもりだったんですけどね、やはりナポレオン以下の睡眠時間では無理がありましたか。残念無念。


 そんな私を神様が哀れんで……か、どうかは知りませんが、今世では中々裕福な国の王女(金髪美少女)として生まれることができました。しかも前世の記憶付きで。


 この世界は中世ヨーロッパ的な世界観なので『知識チート』をするのはうってつけだと思います。


 でも、私はこの知識をひけらかすようなことはしません。


 なぜなら前世で学んだから。

 そう、仕事ができて生真面目な人間には集まってくるのです。仕事が。


 王女としての立場を考えれば前世の記憶を駆使して技術やら文化やらを発展させ、この国をさらに豊かにするべきなんでしょうけどね。そんな面倒くさいことはゴメンです。


 前世で働き過ぎた私は決めたのです。今世ではなるべく働かず、目立たず、スローなライフを送りつつ、バカではないけど賢くもない程度の立ち位置を維持しようと。


 まぁ王女ですから高位貴族か他国の王族と結婚しなきゃいけないでしょうけどね。それでも過労死するよりはマシであるはずです。


 この世界の貴族は後継ぎを産んだあとなら浮気もO.K.みたいですし、夫と妻がそれぞれに愛人を作るのも普通みたい。


 ま、その辺は前世の貴族も似たようなものですね。


 私の性格的に浮気や愛人を作るのは無理そうですけど、夫が愛人を作ってくれたら私は自由気ままにやれるでしょうし、王女の嫁ぎ先なのですから夫からの愛はなくても生活に困ることはないはずです。


 お金持ちと結婚できて、働かずとも生活ができる。そう考えると中々に薔薇色の未来が待ち受けているんじゃないでしょうか?


 そう、バラ色の未来スローライフが待ち受けている……はずでした。


 とある事実に気づくまでは。


「……あれ? 私、悪役じゃないですか?」






※本日あと数話更新します

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