第4話「数とは? 幸福とは?」

「数ってなんだろうね?」


「哲学じみた話だね」


 私はミミカと雑談をしていた。


 公園のベンチに座ってホットコーヒーを飲みながら。


「数と言う概念自体がいつ生まれたのか分かってないけど、でも古代バビロニアの頃から数学はあったんだよね?」


「ミミカって歴史に詳しいね。そうそう、数の概念を持たない部族が居るの知ってる?」


 ミミカが首を横に振ったのを見て、私は笑いながら言った。


「ピダハン族と言って、彼等には数の概念が無くて、少し、沢山、としか認識しないし、彼等に物を数える実験をさせたらしいけど、1、2、3が限界で、それ以上は認識できなかったみたい。でも、彼等には凄い能力がある」


「なになに?」


「現代の科学を使っても分からないけど、彼等は東西南北を正確に把握する能力があるらしいよ? アマゾンと言う目印のない環境で生き抜く為に手に入れた能力かもしれないけど、未だに分かってない。ただ、これだけは分かってる事がある」


「んー?」


「ピダハン族は世界一幸福な部族と呼ばれている。彼等には過去も未来も存在してなくて、現在しか興味がないらしいよ? だから過去を嘆いたり、未来に対して不安を抱かない。我々現代人は情報過多な世界で生きてるからね。ピダハン族の価値観を取り入れる事も大切だと思う」


「むむむ、数の話をしてたら、急に幸福論が出てきた……じゃあ、ワタシ達は、今まさに幸せだよね!」


「そうだな。私もここまで熱弁できたのは、ミミカが私の話を聞いてくれるからだろうな」


「えへへ、照れますな〜」


 今もこうして、ミミカと過ごす時間が楽しく流れるのであった。

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