第2話:呪文。

「ああ、いい、彼女紹介して?・・・とりあえず付き合ってみるから」


「そ、じゃ〜これあげるわ・・・ここじゃなくて家に帰ってから、このメモ用紙に

書いてある文字を声を出して読んでみな・・・そしたら分かるから」


「なに?メモって・・・彼女紹介してくれるんじゃないの?」


「つべこべ言わずに、そこに書いてる通り読めばいいんだよ」

「このメモ。帰る途中で捨てたらダメだからね・・・絶対持って帰れよ、下根田」


「呼び捨てかよ・・・」


「捨てたり破ったりするなよ・・・もしそんなこしたら一生呪われるぞ」


「分かったよ・・・言われた通りにやっりゃいいんだろ?」

「それから、そっちから先に呼び止めたんだから料金は払わないよ」


「ふん・・・せいぜい頑張りな、下根田 好吉」


なんか意味ありげなばあさん・・・。

俺は占い師のばあちゃんからメモを受け取って軽く挨拶してその場を立ち去った。


で、少し歩いて振り向いたら、ばあさんがいたところに・・・誰もいなかった。


「まじでか?・・・あのばあさん、なんだったんだ?・・・キモ」


実は占い師のばあさんはただの婆さんじゃなかったんだな。


ばあさんが書いたメモを読めば彼女でも出てくるのかよ、バカバカしい。

半信半疑のまま俺はマンションに帰った。


ソファに座ってテレビなんか見て・・・そして夕飯の支度をして、ひとり寂しく

飯食って・・・風呂に入ろうと思った。

で、シャツを脱ごうとした時、胸のポケットから、ばあさんから貰った紙切れが

床に落ちた。


そこで思い出した。

ああ、占い師のばあさんがくれたメモ・・・。

風呂に入るのを急遽変更してソファまで戻るとメモを広げてみた。

そしたらちゃんと日本語のカタカナで、なにやら文字が書かれてあった。


「声出して読めって言ってたよな・・・」


だからその文字を声を出して読んでみた。


「ファリトゥス・デイ・ファルバトゥル・バラドル」


それは実は呪文で 好吉にはその意味が分からないまま書かれてある通り読んだ。


その意味は《一度契約が結ばれたら命つきるまで》そう書かれてあったのだ。


そして、その言葉の下に別の文字が書かれてあった。

だからそいつも読んでみた。


「我は汝ルルシフルを呼び出す、神の聖なる名と偉大なる力によって汝よ直ちに

純粋な姿で我がもとへと現れよ。

我が汝に命ずるその全てに応えるために性を司る女神の庇護のもとに我と契約を

結ばん」


なんだこれ・・・呪文かなんか?

まてまて・・・こう言うのってヤバい奴が出てくるんじゃないのか?

悪魔とか?・・・。

ヤギみたいな邪悪な悪魔が出てきて、俺の一番大切なモノと交換条件に俺の願いを

ひとつだけ叶えてよろうとかって?・・・」


そう言う定番的インチ臭いのはちょっと遠慮したいな・・・。

だけど、しばらく待ってもなにも起きない・・・やっぱり占いのばあさんに、から

かわれたかと思った・・・思った瞬間。


「私を召喚したは、あなた?」


そう言って部屋のどこかから女の声がした。


「やっぱりだよ・・・出てきやがった・・・けど、今の女の声だよな?」


つづく。





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